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#9 春、自室にて

長々と書いていた文字を消して書き直した。本稿はスナップ的であることがふさわしい。

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今回の写真はフィルムカメラで春に自室で撮影した服。
日付は写真に焼いてないため、これらが正確に何月何日何時に撮影したかはわからない。どのフィルムを使っていたかも覚えていない。

ただ覚えているのはPentax Me Superという半マニュアルの一眼レフカメラを使ったこと、部屋に差し込む陽光がすごくよかったこと、光を用いた服の連作を試してみたくなった、ということ。


カメラについて
私の使っているMe Superは半ジャンク状態。
レンズは52mmの単焦点。故障のためシャッタースピード(1/125で固定)および露出を調整できず、絞りとフィルム感度でどう仕上がるか想像しなければならない。電池を入れても通電しない。それでも動くのはさすがアナログ。シチュエーションによってはわりといい感じに撮れる。撮れる条件は覚えてくる。何事も慣れだ。

ちなみに今回に限らずフィルムカメラはすべて「撮って出し」であり、一貫している。簡易補正は現像してくれるお店に任せているので、多少はお店のセンスが出ているけど、基本はカメラとフィルムの個性によるもの。
フィルムに関しては光が足りなくて写りがまったくダメでもそれはそれで良し、としている。


アナウンス:
≪さておき、今回のコレクション(SS)のテーマは「春の陽光」
ありきたりな服に差し込む春の光をフィーチャー。
デザイナーはおりません。販売店舗もありません。非売品です。
それではコレクションをご覧ください。≫


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<No.1 トップの画像>
実はシャツが三枚重なっている。手前のネイビーは色が潰れすぎてて形がわからなくなってしまった。


画像1

<No.2 シャツとサングラス>
サングラスに光が届いてないけど服のグレーはよく出てる。イメージより陰影が弱くなった。



画像2

<No.3 デニムパンツ>
3枚の中で一番イメージに近い。けっこういい感じの陰影と発色だ。ピンのゆるさもライトオンスの軽さが出せてる。



フィルムはこのように身の回り品の撮影にもわりと使っている。
「ブツ撮り」しているよりは「背景のあるショット」を撮っていると言ったほうが近い気がする。旅先や遊ぶ時のスナップみたいに。

フィルムは画的な理由もあって、どこか「古い時間」を感じさせる写真に仕上がる。現代であるのにどこか時の流れもデジタライズされていないような雰囲気。それに対して「着用者の今」を写す服を撮影することで、奇妙な時間の錯誤があるというか、物としての服が自分の生活やワードローブとしての役割から離れた存在に変わるような感覚があって楽しい。


今年は外出の機会が減って服自体を見たり買ったりする機会が激減している。平日はずっと自室にいるのだから当然ではあるけれど。
日の目をあびず、クローゼットで眠り続ける服は果たして服といえるのだろうか。着ることがないのであれば被写体として輝いてもらう…そういう楽しみ方もアリかもしれない。

撮:2019/春頃
現像:2019/0520


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