老後のおはなし(前編)
僕は過去に戻りたいと思わない。
今が一番幸せだと思っているし、もし人生をやり直しても奥さんと会えなかったら人生の意味自体がなくなるからだ。
なぜ突然こんなことを書いたかというと、こういう風に思っている僕でさえ過去に戻りたいとさえ思える大きな後悔がある。
それは「もっと先入観なくお金について興味を持っておくべきだった」というもの。5年でも10年でもいいので、過去に戻って自分自身に教えたい事がある。
運用≠ギャンブル
結論から書くと、お金を運用しよう、という話だ。
ここで昔の僕は「運用=ギャンブル」「投資=ギャンブル」「株=ギャンブル」と考え、そこで思考停止していた。普段から思考停止しないように気を付けていたのに、だ。
こんなに大切なところで思考停止していたと気づいた時は正直自分自身に驚いた。
今から考えると当時の僕をひっぱたいてやりたいが、当時の僕は本気で「運用(ギャンブル)でお金をすべて失うなんて馬鹿らしい、しっかり銀行に貯金しておこう」と考えていた。
思い出すだけでも後悔の波が押し寄せてくる。
最初にはっきりと言っておく。
運用をギャンブルだと考えている人はそもそも勘違いしている。一通りこのnoteを読んでから運用をしないという結論に達するならそれもいいと思う。
ちなみにあなたが運用しようがしまいが僕には全く影響はない。
1円も得しないし1円も損しない。
よくあるマルチ商法ではない。
運用はもはや特別な事ではない。
22年4月から、高校家庭科で「投資信託」 に触れる様、新学習指導要領に規定(*1)されるくらい投資が日常に近づく。すなわち、これからの人生に運用知識が必要になる時代がきていることを意味する。
この事も踏まえて総合的に判断して欲しい。
余談だが、他の人が同じかどうかわからない。
昔のトランプ陰謀論や今のワクチン否定論に代表されるように、陰謀論や否定論を展開することでお金を生み出す事ができるからだ。事の信ぴょう性は関係なく、適当なウソを書いてだまされる人を養分にしている。以下参考。
年金2000万円問題を否定的に捉えるだけで何の解決法も示さないTwitterやYouTubeなどもはっきりいって同列だが、政府に文句を言って老後が安定するならそうすればよいと思う。
年金2000万円問題
では、そもそも年金2000万円問題とはなにか?
簡単に言うと、老後に貰える年金の額と「平均的な」生活費の差分(足りない分)を30年分計算すると約2000万円になるよね、という事から始まった。
当然、前提となる条件が当てはまる人もいるし当てはまらない人もいる。年金額だって支出額だってバラバラだ。
しかし、マスコミがお得意の恣意的切り取りにより喧伝し、本質が伝わらずに不安感だけが拡散された結果、とても大きな社会問題になった。
悪いことだけだったかというと個人的にはそうは思わず、一定の効果はあった様に感じる。
それは、退職後は何もせずとも、それこそ貯金がゼロの状態でも年金だけで生きていけると思っていた層の目を覚ました事だ。
え、年金だけで暮らしていけないの?
年金2000万円問題が表面化した際、こう思った人がとても多かった印象がある。なにもこれは本人だけの問題ではなく、金融リテラシーがびっくりするくらい低い日本の教育に起因するので本人だけを責められるものではない。
僕も老後にどの程度のお金が必要になり、いくら資産を持っていればどういう状態になるのかイメージがなく、ただ何となく貯金していれば何とかなるだろう程度の、いわゆる金融リテラシーが低い人に含まれていた。
あなたが45歳くらいまでならこの時点で問題に気づけた事はとてもラッキーだったと思し、まだ安心してよいと思う。
45歳以上だったからと言ってすべてが手遅れではなく、やらないよりやった方が絶対良い。ただ、若い時の方が格段にメリットが大きい。
それだけ長い期間を使って運用する事は、有り体に言えば損をする可能性を減らす事に直結する。
お金の余裕はあなただけでなく、愛する家族の為になる。
まず何をすべきか
すべてのベースになるものは、お金の流れを把握する事だ。
ここを正確に行えれば老後の金銭的な問題は解決したも同然。
簡単に実行できそうに感じるが、一定数がこの段階で挫折するくらい難しい。
理由としては様々だが、最も厄介なのは「お金の流れが明らかになると都合が悪い人がいる」という事だ。
もっと言うと、お金の流れをクリアにしてしまうと自分の都合がいいようにお金を使えなくなってしまうからだ。
家計の最適化を渋られたらまずここにが理由があると思っていい。少なくてもそれ以外の理由は僕には思いつかない。ちなみにそうなった場合の解決方法は僕にはわからないので家庭内で解決してほしい。
お金の流れを把握するだけで、不思議と無駄な出費が減ってくる。それまで漫然と払っていたお金に気を遣うようになるからだ。
ダイエットする時に体重減少の経過を記録すると高い効果を発揮するのと同じで、具体的な数値を掴むと驚くほど効果があがる。
まずは収入と支出を正確に把握する。
支出は固定費(毎月同じ金額使うもの)と変動費(使う金額が読めないもの)に分類し、まず固定費を削減する。そして無駄な変動費を最適化する。
固定費の例:家賃、お小遣い、携帯料金、光熱費、保険料など決まった出費
変動費の例:固定費以外の予想できない出費
後述するが、この時点でギリギリを攻めてはいけない。
無理な出費削減は衝動買いなどの大きな反動となって返ってくるので、まずは1万円でも2万円でも削減できればラッキーくらいに考えておく。
自分の年金額と支出の差額を把握する
ある程度固定費を削減したら、次は退職後の年金生活時にいくら赤字になるのかを確認するステップに入る。
「ねんきん定期便」というとても便利なものがあるので、それを使ってざっくり65歳以降に貰える年金額を把握する。(ちなみに年金をもらっていても税金は払うので年金額を0.8倍くらいにしておくと安心)
また、さらにざっくりではあるが、現在の支出に0.7-0.8を掛けた数字が老後の支出の目安になると言われている。(もちろんこれも人によって異なるので適宜調整してほしい)
これらの老後の支出と年金額の差額が老後に不足する可能性がある金額となる。
ちなみに、夫婦2人で老後生活を送る上での最低生活費は、平均22万1,000円といわれている。(*2)
マイナスだったらどうするか
上記の計算結果がプラスだったらまずは一安心。
マイナスだったとしてもまだ焦るような時間じゃない。
そのマイナスを埋めるものこそが「貯蓄」であり「運用」となる。
貯蓄なんかない
と思った人もいると思う。
今の生活で貯蓄ができないなら、少し遡って固定費を減らす項目を読み直して欲しい。
無駄なお金を使っていないか、携帯ゲームにお金をつぎ込んでいないか、高い携帯料金など払わなくても良いお金を払っていないか。
これを実践することで1万円でも2万円でも生活費を浮かせる事が出来れば一気に前進できる。
趣味にお金を使う事を否定しているのではなく、老後に生活が破綻しない程度にお金を使えばいいだけだ。
なお、支出を減らす事も重要だが、それ以外の方法で貯蓄しようと思うと以下の方法が考えられる。
1.転職などにより収入を上げる
2.副業などを行って副収入を得る
3.宝くじを当てる
4.ギャンブルで一発当てる
5.(支出を減らす)
6.運用する
宝くじやギャンブルを選択する人はさすがにいないと思うが、転職や副業で収入を上げる事も難易度が高いと思う。
そうなると、消去法的に(支出を減らすか)運用するかに絞られてくる。
ぶっちゃけ、ある程度支出を減らしたあと、さらに切り詰める難易度に比べると運用で増やした方がかなり楽だと感じている。
実際の方法は後編にて記載したいと思う。
後編は以下。
リファレンス
*1 日本経済新聞
高校家庭科で「投資信託」 22年4月から授業(2019年11月12日)
*2 生命保険文化センターの「生活保障に関する調査(令和元年度)」
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