見出し画像

「陸王」からみる特許利用

サンカラ・弁護士の瀧澤です。

近頃雨ばかりで外出するのが億劫になっている今日このごろですが皆様はいかがお過ごしでしょうか。

私は、昨日一昨日と仕事をサボって過去にTBSの日曜劇場でやっていた「陸王」を一気に見てしまいました笑

「陸王」

「陸王」は2017年10月から3ヶ月間放送されていたのですが、私はリアルタイムでは観てませんでした。

先日たまたま「U-NEXT」で目がとまって観始めたところ、結局最後まで観てしまいました。

やはり池井戸潤原作のドラマは面白いですね。

ご存知の方が多いかと思いますが、「陸王」は、地方の足袋メーカー(こはぜ屋)が主要取引銀行から業績回復の策として、新規事業を提案され、自社の技術力を活かしてランニングシューズ事業に乗り出すストーリーです。

途中、あれだけ新規事業をやれといっていた銀行からは

「実績がないため融資をするわけにはいかない」

との矛盾に満ちた対応を受けながら、何とかランニングシューズの事業展開に向けて突き進む会社の様子が結構リアルに描かれております。

特許の利用契約

さて、「陸王」の話をすると長くなるので、本日の本題ですが、特許の利用権契約に関することになります。

これまた「陸王」の話ですが、こはぜ屋がランニングシューズ製作にあたって、ソールの素材として繭で作られた特殊素材「シルクレイ」を取り入れることを検討し、その特許権者と特許利用に関する交渉をする場面があります。

専用実施権と通常実施権

特許利用に関しては、専用実施権と通常実施権があります。

特許利用権をライセンシーのみに付与するのが専用実施権です。

特許ライセンス契約内で許諾した範囲においては、ライセンサー(特許権者)でさえも特許の実施ができません。

通常実施権とは特許利用権を、ライセンシーに付与しますが、ライセンサーも引き続き、特許の実施が可能になるものです。

専用実施権はライセンサー特許を使えないので、現実的には多くはないと思います。

独占的通常実施権と非独占的通常実施権

さらに、通常実施権は、独占的通常実施権と非独占的通常実施権に分かれます。

他の事業者に対する実施許諾を行わないことを約する場合は「独占的通常実施権」となります。

他方で、他の事業者にも実施許諾をすることができるのが「非独占的通常実施権」になります。

特許を使って事業をする場合には、他企業から真似されないために、独占的通常実施権契約を締結することが望ましいです。

とはいえ、よほど有力な企業でない限り、通常は特許権者の立ち場が強いので、なかなか独占的通常実施権契約を締結してくれないことも多いでしょう。

新規事業のために特許を利用する場合には、特許利用の契約内容についてしっかり検討する必要があります。

瀧澤輝
債権回収に強い弁護士
(専門分野:戦略法務、債権回収、口コミ対応)

【無料メルマガ登録はこちらから(登録すると、様々な特典があります)】


もし、読んでみて、「使えそうだ」「役に立った」と思ったら、ご支援いただけると嬉しいです。より質の高い情報提供のために活用させていただきます。