傘づくりは傘職人だけじゃない! 機織(はたお)り町の職人を訪ねて ②ほぐし織 編
私たちは創業以来、日本製の傘を作っています。
でも、傘を作っているのは傘職人だけではありません。
傘をお客様の手に届けるまでに、傘職人以外のたくさんの職人さんの手を借りています。
私たちは、伝統的な技術を守り続けている職人に支えられて、傘をつくることができています。そんな日本屈指の機織り町である山梨県にいる傘に欠かせない職人たちを昨年末にSUNチームが訪ねました。
その時のレポートと共に、傘づくりを支える職人たちをシリーズでご紹介します。初回は【ほぐし織 篇】です。
ほぐし織とは
ほぐし織りというのは、経糸の模様が少しずつズレていて、ぼかしたような優しい風合いの織物です。
マリーアントワネットも「ほぐし織」の技法で作られたドレスを愛用していたと言われています。日本では「ほぐし織」で作られたハイカラな衣装が一斉を風靡し、「大正ロマン」と呼ばれるファッションの一時代を築き上げました。
ほぐし織は、普通の織物より倍の手間暇がかかっており、高い技術が求められます。今回はその全貌をこの目で見るために、山梨県都留市にある天野商店を訪れました。
ほぐし織の工程
「ほぐし織」は、優れた「型作り職人」「染め職人」「織り職人」
が揃わないと成立しない高度で貴重な日本有数の織物です。
それだけではなく、ほぐし織の生地ができるまでに、なんと10工程もあるんです。
原糸加工:必要量の加工が目的
染色:生糸セットおよび染色
整経:経糸の整経
仮織り:染めた時に糸がバラバラにならないように整経した経糸に粗く緯糸を織り込む
ほぐし捺染:シルクスクリーンで版画印刷して、柄を付けていく
蒸しセット:高圧釜に入れて色を糸に定着させ、捺染の色止めをする
巻き返し:紙の抜き取り
織り:仮織りした糸を1本1本解(ほぐ)し、経糸が並んだ状態に戻して、本格的に織ります。
検反:検査
整理:生地の防水
仮織りと本織りの2度織るだけではなく、型を使って染めていく(色が多い場合はさらに倍の手間がかかります)ので、倍以上の手間がかかるのですね。
貴重なほぐし織の傘
手間がかかり、高度な織物であるが故、現在国内で数えるほどしか製造工場が残っていません。職人の高齢化も進み、担い手不足も深刻化しています。
そんな貴重なほぐし織でつくった傘をご覧ください。
いかがですか?多骨で和の雰囲気を出しながら、水彩画のような柄と配色のバランス。まさに伝統と職人たちの技の結晶です。
SUNにもほぐし織の生地サンプルがありますので、ぜひお気軽にショールームにお越しください。毎週水曜日午後は、見学可能です。
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