AIで故人を復活させることの是非
昨年末に行われた、2019年NHK紅白歌合戦に、
故人である美空ひばりさんの声と容姿を再現した、
「AI美空ひばり」が出場し、「新曲?」を披露したことは、
記憶に新しいと思います。
あの時も、賛否両論あったけれど、
今日、新たに、こんな記事を見つけました。
漫画の神様、「手塚治虫」をAIで蘇らせたら、どうなるか?
というプロジェクトが立ち上がり、「新作?」が発表された、
というニュース。
歌にしろ、漫画にしろ、芸術作品を作る「技術」をコピーして再現、
というニュースですが、
賛否両論ある中で、きっとこの流れは、進んでゆくのだろう、
と、個人的には思っています。
故人を蘇らせたい、という願いは、
人類が「人間」となる以前の、「動物」だった頃からあったものだと思う。
故人を悼み、帰ってきてほしい、と願う気持ちは、本能なんだと思う。
人類の文化と技術は、いつも、「願い」から。
だから、この流れは、止められないと思う。
ただ、なんとなく、「侵してはいけない一線」を踏んでいるような、
そんな恐ろしい気持ちがするのだと思う。
例えば、クローン技術。
倫理的な議論のため、「人間のクローン」は、決して作ってはいけないし、作れない、ということになっている。
しかし、技術の進歩レベルでいうと、既に、
とっくの昔に、人間のクローンを作ることが可能なのだという。
しかし、それは、いけない。やってはいけない。
社会的動物として、人間が築き上げてきた大切なものが、
混乱し、壊滅してしまいかねない。
そう、誰もが思うから。
そこにある「壁」は、
社会的な仕組みの崩壊の危機も、もちろんあるだろうけれど、
何か、論理を飛び越えた、とても精神的な、spiritualなものなんだと思う。
科学の進歩は、今、spiritualの領域に踏み込もうとしている。
それは、「倫理」や「モラル」と呼ばれるけれど、
それもしっくり来ない、もっともっと、
人間が抱えてきた、宗教的・精神的活動に根幹がある感覚だと思う。
AI技術の壁として「不気味の谷」ってのがあったけど、
長年の試行錯誤で、
決して越えられないと考えられていたそれ(不気味の谷)を越えた今、
次にぶつかる壁が、この「spiritualの壁」なんじゃないか。
魂(spiritual)を尊いと感じ、
魂(spiritual)ではないものと区別する。
自らのspiritualの感覚を乱すものに、違和感を感じる。
そんな感覚。
死者を「悼む」「真似る」「学ぶ」「尊敬する」ことは
素晴らしいことだけれど、AIはそれに成り代わってはいけないし、
それをまかり違っても超えてはいけない。
故人本人でしか満たし得ないものを、
クローンやAIが満たしてしまっては、いけない。
良い、悪い、ではなく、
人間として持ってる「感覚」がNOというのではないか。
この話をした時に、
うちの旦那がとってもいい事を言ってました。
人間も作品も、失われてしまうから尊いと感じるんだ。って。
いつか壊れてしまう、無くなってしまう、亡くなってしまう。
だから、尊いと思えるし、大切にしようと思える。
無くならない、無尽蔵に作れる、いつでも蘇る、
そんな風になってしまったら、
「尊い」とも感じる事が出来なくなってしまう。
って。
確かに。
うまく言葉にできないこの感覚は、
きっと、本当に大事だと思う。
これから、あらゆるものがAIに置き換わってゆく今、
ここと、どう向き合ってゆくのか。
うまく言葉にできないこの感覚と、
ちゃんと向き合うことができるのか。
某感染症の話じゃないけど、本当に、瀬戸際にいると思う。
そして、電子化・オンライン化のこの流れ、
今回のパンデミックによって、世界的に進むと思うよ。
どうなっていくのかなぁ。人間。
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