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経営コンサルタントの私が、今あえて田舎に投資をする理由

「なんでそんなに、田舎にお金と時間をかけるんですか?」

とよく聞かれます。

私が代表を務める株式会社SUMUS(スムーズ)は、全国の住宅工務店向けにIT化のサポートや経営コンサルティングを提供しながら、まちづくりに取り組んでいる会社です。

会社は東京にありますが、顧客の大半は地方、それもいわゆる「田舎」の工務店さんです。もちろん、これは、あえて田舎の工務店さんと繋がろうとしてきた結果です。

都市と田舎の二極化が進む中、あえて田舎を開拓しようとしている私の姿は奇妙に見えるようですが、私は会社の社長として、そして一経営コンサルタントとして、合理的に考えて田舎に投資をしています。

田舎は、儲かる。

身も蓋もないことを言ってしまうと、私が田舎にばかり時間とお金を使っている理由は、「儲かるから」です。

ビジネス目線で見たとき、田舎の魅力の一つは土地の安さとその伸びしろの大きさです。

「田舎の土地なんて、どんどん地価が下がってるんじゃないの?」

と思った方は、半分正解で半分はずれです。全国的に見れば、都会の地価は上がって、田舎の土地は価格が下がっているという二極化が進んでいます。

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<参考画像>
引用元:【住まい1】(三菱UFJ不動産販売)
【2020年】過去10年間の公示地価推移から読み取る今後の住宅地価動向」より

一方で、細かくみていくと、人気のあるエリアは田舎といえど、当たり前に地価は上がります。

分かりやすい例が、リゾート地として有名な北海道のニセコです。ニセコにある俱知安町(くっちゃんちょう)は、2020年度の地価上昇率で全国ナンバーワンの町です。

2020年度の公示地価は7万250円/㎡(23万1,825円/坪)。10年前、2010年の時点では、1万9,800円/㎡(6万5,340円/坪)でしたので10年間で3.54倍になりました。

この数字は、あくまでその地域の基準値です。場所によっては、坪単価1万円だった土地が、300万円/坪で取引されたような事例もあります。

(※ニセコの地価がなぜ上がったのか、そしてコロナの影響を受けて今どうなっているのかは、また改めてまとめますので、ここでは割愛します。)

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画像引用:倶知安町公式HP

日本で一番地価が高いことで有名な、銀座の「山野楽器銀座本店」の公示地価は5,770万円/㎡です。

いくら東京の地価が上がっているとはいえ、この価格が、数年後に10倍、100倍になっていることは想像できますか?とんでもない数字です。誰も買えません。

反対に、地名までは書きませんが、基準地価として発表されている中で最も安い場所では、1㎡あたり、10円もしないところもあります。

田舎の土地の価格が低いのは、単純に人気がないからですが、人気がない=魅力がないということではないんです。

魅力がうまく伝わっていなかったり、そもそも現地の人が魅力に気づいていなかったりして、注目されていない場所は全国にたくさんあります。

先のニセコの事例のように、その土地の魅力が、伝わるべき人に伝わることで人気が出る可能性は十分あります。

世間一般論としての、田舎。
そしてその中でも、魅力があり、儲かる可能性を秘めている場所をここからは、「イナカ」と呼ぶことにします。

1㎡あたり10円の土地の値段が10倍になっても、100円/㎡です。100倍でも1,000円/㎡です。まだまだ、土地としては安い。

きっかけさえあれば、爆発する可能性を持っている。それがイナカです。原石を正しく見つけることができれば、1000万円で買った土地を1億円で売ったりすることができるわけです。

イナカに投資をするのは、未上場のベンチャー企業の未公開株を買って、支援をするのに似ています。

経営コンサルとまちづくりの共通点

とはいえ、私は土地の売買を生業としているわけではありません。イナカの工務店さんの経営サポートをさせてもらいながら、一緒にまちづくりをしています。

観光や再開発で価格が上がりそうな土地に目をつけて、買ったり売ったりしているわけではなく、その地域の人たちと一緒に、その土地の魅力を見つけて、発信をしていき、イナカの価値を高めていくという取り組み方です。

「なんで経営コンサルタントがそんなことを?」とよく尋ねられるのですが、実は「企業づくり」と「まちづくり」というのはとてもよく似ています。

とても大雑把に言ってしまうと、

・強みを見つけて磨く
・その強みを活かして利益を得る
・得た利益を再投資する

企業づくりも、まちづくりもその繰り返しです。

仲間を集めたり、外に向けて発信したり、仕組化したりしながら少しずつ大きくしていきます。

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<スタッフと、とある山の再生を議論中の様子>

経営コンサルタントとして企業のIPO(上場)サポートなども行ってきましたが、そこでの経験やノウハウが、まちのステージを変えるという場面でも応用できるのです。

私は、私の強みを活かして、まちづくりを行っています。

見捨てられゆく過疎地に眠るイナカ

私が田舎に目を向けるようになったきっかけは、父との会話でした。

私の父は大工です。職種は違えど同じ業界で働いていることもあり、年齢とともに親子ふたりで酒を酌み交わしながら仕事について語る機会も増えてきました。

そこで、父はいつも「日本のGDPの2割くらいが住宅産業だろう。俺たちは日本の経済を支えてきたんだ」と、誇らしそうに語ります。

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しかし、業界の未来の話になると、「この地域で『家を建てたい』という需要は、もう頭打ちになりつつある。できることと言ったら、他の地域に進出するくらいだよな……」と、少し残念そうな言葉もこぼします。

自分たちの仕事に誇りを持っているけど、未来には明るいイメージを持てない。そんな話を聞くと、なんとも歯がゆい。そして、次第にこの状況を変えたいという想いが湧き上がってくるようになりました。

今の日本は、大きく、都市と街と過疎地に分かれていますが、30年~50年後には巨大化した都市と見捨てられた過疎地になると言われています。

土地面積の比率でいうと、
都市:5%
町:15%
過疎地:80%

一方で、人口の比率は
都市:70%
町:20%
過疎地:10%

くらいになるだろうと予測されています。たった5%の土地に、全体の70%の人がぎゅうぎゅうになって暮らすのです。

一方の人がいない80%の土地はどうなるか。人がいない、売れない土地はメンテナンスもされなくなります。過疎地は危険な野生な荒野となっていくでしょう。

このまま放っておくと、ただの荒れ果てた土地になってしまう過疎地の中には、まだまだ儲かる可能性を秘めたイナカも眠っています。

イナカを見つけて、投資をする。しっかりと収益をあげながら、コンサルタントの経験を活かしてまちの活性化の仕組みを作る。

それが結果的に田舎を再生し、そこに関わる人の幸せにつながるという想いで事業を展開しています。

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とはいえ、私と、仲間たちだけで全国の田舎をすべて活性化させるなんていうことは不可能です。そこで、これからnoteでまちづくりについて発信をしていきます。

私がこれまで、コンサルタントとして培ってきた経験や知識、ノウハウ…また、まちづくりに関わる中で気づいたことなどを、綴っていきます。ぜひ多くのまちや人に活用していただけると嬉しいです。

株式会社SUMUS 代表取締役
小林 大輔

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