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すぐに「終わり」を考えてしまう人へ〜IU/Through the night〜


「あなたはいつも、うまくいってる時ほど寂しさを感じているわよね。」


冒頭の言葉は、IUちゃんが作詞の師匠と親しむ、また親戚の叔母のような存在であると語る韓国の国民的作詞家、キムイナさんがIUちゃんに対して放った言葉だ。

当時、自身の4枚目のフルアルバムである"palette"をリリースし世から大絶賛を受けていた頃のIUちゃんは、今のこのうまくいっている状況を「いつまで続くかわからないからとても寂しい」と語っていた。「だから、うまくいってる時はその瞬間を楽しむ努力をしようとしている」とも。

わたしはこのIUちゃんの気持ちがとてもよくわかる。


わたしは最近、日常が順調だ。

つい最近まで仕事に忙殺されていて、辛くてきつくて仕方がなかったけれど終わってしまった今振り返ってみると、関わった人々、関わった企画、職場の隅々にまで情が移って全てが愛おしくて仕方がない。

そんな状態になるとわたしは決まって、今このメンバーでこの仕事ができるのは一体いつまでなんだろうと考えて悲しくなってしまう。

転勤族だったという生い立ちが関係しているのかしていないのかわからないけど、わたしはきっと人よりも「終わり」に敏感だと思う。今この大切で大事な空間やわたしの気持ちや人々が永遠にあるなんてあり得ないことを知っているから、大切なものができるとすぐに失った後のことを考えて憂いでしまう。


職場だけじゃなくて、家族に対しても、友人に対しても、付き合った相手に対しても、私はいつもいつもこれがなくなったら、とか、この環境が消えてしまったら、とかを考えては落ち込んでしまう性格で、周囲の人はそんなわたしをネガティブすぎると笑っていた。わたしも、自分のことをなんてネガティブなんだろうな、幸せな時は幸せだと思えばいいのに、と自分の性格に悩んだりしていた。

つい最近も人生何度目かわからない同じことが起きて、相変わらずわたしは昔から何も性格が変わってないななんて思っていたりしていた。


そんな時に、ほぼ毎日きいてるIUちゃんの夜の手紙という歌の歌詞を読み返すと、何回も聴いたはずの歌詞がまた改めて心に染みて響いてしまった。

波のさざめきが浜辺に書いた文字をさらってしまうように
あなたが遠く消えてしまいそうでいつも恋しい
日記の中の全ての言葉を伝えることはできないけれど
愛しているということなんです

そうなんだ、
愛しているということなんだ。




ネガティブなんじゃなくて、これがわたしの愛情表現であって、「愛のかたち」なんだと思う。

「愛のかたち」なんてきくと森ななちゃんが軽快に歌う曲のように、「理由もないのに輝く」ものだったりポジティブなイメージを抱きがちだけれど、きっとわたしの愛のかたちはそうじゃないんだと思う。

終わってほしくなくて、ずっとそこにあってほしくて、終わりを想像すると悲しくて切ない。
この感情はただのネガティブなんじゃなくて、そうではなくて、これこそが、わたしにとっての愛なんだなとIUちゃんにまた教えてもらいました。


「だから、うまくいってる時はその瞬間を楽しむ努力をしようとしている」


これは、終わってしまう未来を憂いずにポジティブな面だけ見ようとする努力ではなくて、思わず終わりを想像して寂しさや切なさを感じてしまっても、その切なさを、幸せの証拠としてポジティブに捉えるようとする努力なのかもしれない。
少なくともわたしにとっては。


最近、身の回りの友人や家族や彼氏や職場の大好きな人たちが、いなくなったらと想像してしまうと悲しくて悲しくて眠れなくなってしまうほど不安になることがある。
わたしは今、きっと幸せなんだと思う。

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