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明確ではない、横綱昇進の基準

  歴代の横綱を見てみると、横綱昇進前直近二場所で優勝が無かったのは41代の千代の山以降、7人おり、三場所で見ても柏戸、二代目若乃花、三重ノ海、双羽黒と4人いる。
  しかし、どの例も安定した取り口があること、安定した星を残していること、同じ時代に好敵手が大勢いる中での高成績など、優勝が全てではないとする昇進基準があった。          

  柏戸を例にすると、直近三場所は10勝、11勝、12勝と星数で物足りない上、優勝もない。準ずる成績も昇進直前の場所のみである。
  だが、しかし、大関最後の場所である昭和36年9場所の番付は横綱昇進への可否を決めるのには十分すぎる豪華番付であった。
  横綱に朝潮、若乃花が君臨。大関陣は柏戸を含め、5人もいた。共に横綱へ栄進する大鵬や、北葉山、若羽黒、琴ヶ濱といった面々である、この上位陣と対戦した上での12勝は立派な成績だろう。

  横綱昇進への可否は、優勝が大きなファクターであることは間違いないが、それ以上に内容、印象が重要になる。
  柏戸は間違いなく、その両方を満たしていたと見てよかろう。
  柏戸の場合は、直近の三場所だけでなく、その前の更に二場所を遡り、13勝、12勝、10勝、11勝、12勝と非常に安定していたことも横綱へと栄進できた要因と言える。

  あまりにも昨今では、「何場所連続」とか「連続優勝」と言った類に敏感であるが、長期間の安定した強さこそが横綱に求められる条件であると感じる。

いつの日か、舞の海氏がテレビの解説で「年間で常に12勝以上収めたら横綱にあげても良いのではないか」と語っていたが、この発言に私は強く賛同する次第だ。

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