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夢遊の淵


 軋むベッドに身体を埋め。

 緩く細く息を吐く。

 シーツの匂いを一杯に吸って、

 肺の中を空っぽにする。

 そうして漸う目を閉じて、

 しん、と、広がる私の中の海原に身を投げる。

 四方を包まれたような安寧に、

 夢の中にしかない柔らかな何かに、

 全てを投げ出して飛び込むのだ。

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