捨てられない男

むかしむかしあるところに、ゴミ屋敷に住んでいる男がいました。その男はどういうわけか女の人にとってもモテたので来る日も来る日も別の女の人たちが入れ替わり立ち替わりやってきて、ゴミを捨てて帰るのでした。女の人たちはみんなそろってこう言いました。
「あなたはわたしがいないとダメなのね」
女の人たちがいくらゴミを捨てても、いくら部屋を掃除しても、男はゴミを外から持ってきて、またすぐにもとのゴミ屋敷に戻ってしまうのでした。
そんな男に呆れた女の人たちはとうとう男を捨てて二度と帰ってきませんでした。
「彼女たちに捨ててもらいたかったのは、ゴミではなく、僕自身だったのだ」
男は呟き、そして長年住み慣れたゴミ屋敷から出ていくのでした。

めでたしめでたし