苦手なあの子

高校生の時、苦手な友達がいて、
その子はお昼におにぎりを食べると必ず、
ねえ、歯に海苔ついてない?
とわたしにいーっと歯を見せてきた。

わたしはそれが嫌いだった。

わたしが巨人応援すると必ず負けるから、
巨人戦は見ないようにしてるの、
なんてことも言っていて、
いや、あなたが見ても見なくても、
巨人にそんなに影響ないですけど??なんでそんなに自分は世界に影響を与えるすごい存在って思えるの?
感がすごく苦手だった。

彼女は美人ではなかった。
可愛いタイプの子でもなかった。
色黒で、ずんぐりとしていた。

でもいつも自信たっぷりだった。

わたしは中学の時いじめられていた。
クラスの男子の1人が、
お前ってブスだよなーと言い始めたのをきっかけに、
わたしのあだ名はブスになった。

ブス、死ね、学校くんな、臭い。

毎日そう言われることが当たり前すぎて、
わたしは全ての言葉を受け入れていた。

わたしってすごいブスなんだ。

それから色んなことが遠慮がちになった。
わたしブスだからが言い訳になった。

歯に海苔ついてない?と歯をみせてくる友達は、巨人の運命に多大な影響を持っているその子は、
わたしが思う可愛い子ではなかったけれど、
多分とっても愛された子だったんだと思う。
世界の中心はわたしだ!
と自信を持って言えるように育ってきたんだと思う。

わたしはきっとそれが嫌いだったんだろう。
わたしも、堂々と人生の主役はわたしよ!って思って多少図々しくとも生きていたかったから、でもできなかったから、
彼女が羨ましかったんだろう。

嫌いな人、苦手な人、
も本当は自分がどうなりたいかを指し示す、
キーパーソンなのだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?