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キリエのうた

※小説を読んだ感想になります
 ネタバレされたくない方はお控えください

発売されてからすぐ小説を購入した
ただ思いの外内容が重めだと話題になった
感情移入が激しく読んだ後も世界観に引っ張られてしまう私はメンタル万全な日に読もうと決め
そして昨日、発売から約4ヶ月やっと読了

主な登場人物は4人
路上ミュージシャンのキリエ
キリエの高校時代の友人のイッコ
キリエの姉と結婚の約束を交わしていた夏彦
小学校教諭の風美
4人の人生が絡み合った壮大な13年間の物語だ

夏彦とキリエの姉のシーンは
苦しくて涙が止まらなかった
夏彦はキリエの姉に対しどうしようもなく
恋焦がれてしまい
結果としてお互いが高校生にも関わらず
子供を授かってしまう
産むという覚悟を決めキリエの親には認めてもらった夏彦だが自分の親には告げられず
子供を授かったという事実を受け入れながらも
心の中で葛藤していた
そこに受験も重なりキリエの姉とは
少し疎遠になる
その後久しぶりにキリエの姉に夏彦が電話を
かけるのだが、ずっと一緒だよね という
キリエの姉との会話を最後に
連絡が取れなくなった

原因は東日本大震災だった
キリエたちが住んでいたのは石巻
電話の途中に地震が起き
危ないとわかっていながらも妹のキリエが心配で
探しに行ったキリエの姉
無事妹のキリエとは会えたようだが
もうそれ以降音沙汰は無くなった

心配でたまらなくなった夏彦は
深夜1時過ぎ自分が住んでいた場所から
約40キロ離れた石巻まで走って
キリエの姉を探しにいくことを決意

飲まず食わずで走り
倒れながらも辿りついた石巻の街は
水に沈んでいた
夏彦はキリエの姉もお腹の子供も生きているわけないことを悟り心が引き裂かれそうになった
ただ自分の家族に子供を授かったことを
告げられていないため
心のどこかでキリエの姉が死んで安堵している
自分がいた
結果的に姉は亡くなって妹のキリエは木に登り
命が助かっていたのだが
そんな自分に対しても自己嫌悪に陥っていた
夏彦は久々に再会したキリエに対して
何も守れなかったと憤慨する

苦しくて苦しくて胸が張り裂けそうになった
全てがどうしようもなく未熟で
向き合いたくないような怖い気持ちと
人間の弱さと抗えない運命と
何もかもが苦しくて登場人物の幸せを願わずには
いられなかった

朝から読み始めて昼過ぎには読み終わった
苦しくて苦しくて消化できない気持ちで
溢れてしまって結局夜も眠れず
今この文章を書いている
でも間違いなく出会ってよかった作品
あんなに苦しかったのに
キリエのうたの世界でもう一度みんなに会いたい

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