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エッセイ的なサムシング

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#家

家について 後篇

家について 後篇

 大學への進學が決定し、遂に私は獨り暮らしを始めることになりました(其れ以前の遍歴は前篇を御覧下さい)。既に此の時、實家での生活に滅入つてゐたし、早く自由な暮らしがしたいといふ願望がありました。

 私は宇都宮大學の建築學科へ入學しました。當時の私の漠然とした夢の一つとして、自分の家を自分で設計したいといふものがありました。其れが建築を志した所以です。希望も膨らんでゐました。
 ところが、此れも父

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家について 前篇

家について 前篇

 人の人生に於ける“家”の重要性は云ふまでもありません。衣食住と云ふぐらいです。
 然し乍ら、私自身が自分の家に滿足出來たことは殆どありませんでした。そんな私の“居住地遍歴”を、適當に綴つてゆかうと思ひます。

 私の父は銀行員です。なので頻繁に轉勤がありまして、昔は各地(とは云つても、父の會社は茨城縣の某地方銀行ですので、殆どは茨城縣内、關東から出たことはありません)を轉々としたものでした。

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