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【書評】イシューからはじめよ 知的生産の「シンプルな本質」/安宅和人
評価点:3点 / 5点中
おすすめな人:
やりながら考える、やってみないとわからない、と考えてる人に、一歩立ち止まって体系的に考えるきっかけになると思います。やってみないとわからないも一次情報を探るための真理なのであらぬ方向に手をつけない道しるべになります。
要約
「限られた時間で価値あるアウトプットを出す」ためにイシューの重要さと解決策の質の二軸から考え、双方重要なイシューを解決することで他者と比べて圧倒的な成果の差をつけることができる。
よいイシューの見つけ方、分析するための構造分解(サブイシューの発見)、そのための分析手法、伝えたいメッセージと構成方法にまで具体案を提示する。
学びと共感
最低限の仮説をもとにやりながら考える側の人間のため、「最低限の仮説」の定義を知る参考になった。細かいTips/手法論は実践できるかわからないが、イシューの軽重と解の質を意識してほぼ大半の重要でない問題でなく重要な問題にこそ集中して取り組み、一次情報からの情報集約・仮説の立証からメッセージングの組み立て方の全体像は仕事に活かせそうと感じた。
また自身が「ビジュアル思考型」の人間で「言語思考型」と仕事をするときに言葉での定義が重要なのは自身の過去の失敗経験と照らしてなるほどと納得した。
一方で言葉選び・組み立て方がやや冗長難解で客観性に欠ける印象。まず自身がやってみてエッセンスが実践できるかを試してみる。
概要(ネタばれあり)
「考える」=答えが出ること、「悩む」=答えがでないこと
悩まないことは信念プロフェッショナルはバリューのある仕事に集中し、成果を出すことが重要
「イシュー度」と「解の質」の2軸
イシュー度は「自分のおかれた局面でこの問題に答えを出す必要性の高さ」
解の質は「そのイシューに対しどこまで明確に答えを出しているかの度合い」
多くは「解の質」に目が行くが「イシュー度(課題の質)」が重要
「限られた時間で価値のあるアウトプットを効率的に生み出す」ゲームをやっている
一心不乱に大量の仕事をするのは「犬の道」
世の中にある「問題かもしれない」と思われているほぼすべては問題ではない。本当の問題は100に2~3つ
いきなり核となる問題を絞り込めない時は上司の手を借りる
「自分が思いついた問題の中で、本当に今答えを出す価値のあるものは何でしょうか」ときく
ビジネスパーソンは、マネジメントや自分の仕事に関わる「ハンドルを握る側の人」。マネジメント活動と日々のビジネス活動を通じたアウトプットにコミットし、そこで評価される
「限界まで働く」「労働時間で勝負する」のはレイバラーの思想
「同じ労力・時間でどれだけ多くのアウトプットを出せるか」が生産性の定義
「どこまで変化を起こせるか」によって対価をもらい評価される
表層的な論理的な思考に陥らない
「一次情報を死守せよ」は金言
問題はまず「解く」ものと考えがちだが、本当に解くべき問題(イシュー)を「見極める」ことが重要
「この人は」という人に面会や相談を申し込む
「知恵袋的な人」の存在が突出した人とそうでない人の差を生む
仮説を立ててスタンスをとる
スタンスをとって仮説に落とし込まないとイシューにできない
「〇〇の市場規模はどうなっているか」でなく「〇〇の市場規模は縮小に入りつつあるのでないか」と仮説を立てる
人に仕事を振る時もこの仮説をもとに「必要な情報・分析すべき項目」を伝え分析結果の解釈を明確にする
イシューと仮説は紙や電子ファイルに言葉として表現する。言葉にすることで「最終的に何を言わんとしているか」が落とし込めているかわかる
世の中は「視覚的なイメージから考えるタイプ=ビジュアル思考型」と「言語から考えるタイプ=言語思考型」にわかれる。言語思考型はビジュアル思考型のいうことを理解できないが世の中には多い。ビジュアル思考型はイシューを言語化しないとチームの生産性は大きく下がる
言葉で表現する時は以下に気を付ける
「主語」と「動詞」を入れてシンプルにする
「Why」より「Where」「What」「How」どちらか、どこを目指すか。何を行うべきか、何を避けるべきか。どう行うべきか、どう進めるべきか
よいイシューは「本質的な選択肢」であり「深い仮説がある」、「答えが出せる」
選択肢がありどちらになるかによりそこから先の研究に大きな影響が出るのがよいイシュー
世の中の大半は重要でないためなんちゃってイシューに惑わされない
仮説を深める方法は、「一般的に信じられていることを並べ、否定できるないし異なる視点で説明できるものを考える」。ここで専門家へのインタビューで一般的な「常識」を知ることができる
解く方法がはっきりしない場合、時間でも手間でも大きなダメージになる
イシュー特定のためにまず考える材料を手に入れる
一次情報に触れるため、外部の専門家に話をきく。「守秘義務に触れることは一切話す必要はなく聞いた話は内部検討でしか使われないと話すとたいてい時間を設けてもらえる
あわせて基本情報をざっと調べる
「知りすぎたバカ」にならない範囲で情報収集を止める
イシュー分析するためにストーリーを組み立てる
「イシューを分解し」「分解したイシューに基づいてストーリーラインを組み立てる」
「Where」「What」「How」は一つの型
型がないときは「逆算」する
ストーリーラインを組み立てる
イシューを分解しサブイシューに個々の仮説が見えれば最終的に何を言わんやが徐々に明確になる
1つ目の型は「Why」の並び立て。なぜ案件Aに魅力があるか、手がけるべきか、手がけることができるか
2つ目の型は空・雨・傘(課題の確認、課題の深堀、結論=西側に雨雲、雨が降りそう、傘を持とう)
イシューが見えストーリーラインができれば分析イメージのため絵コンテをつくる
「どんなデータが取れそうか」でなく「どんな分析結果がほしいのか」から逆算して設計する
分析とは「比較、比べること」、つまり「比較の軸」が重要
定量分析は、①比較、②構成、③変化、が基本の型
各分析毎に「どんな分析手法を使ってどんな比較を実現するか」「どんな情報源を使うか」も右側に明記する
相手に覚えてもらうためには同じ言葉を繰り返しても無駄
XXは〇〇と関係していると「理解の経験」を繰り返させなければ記憶には残らない
英単語だけみても覚えないが様々な場面である単語が同じ意味で使うシーンと結びつけば覚えられる
受け手の既知の情報と新しい情報をつなげる工夫こそ大切
アウトプットは重要だが答えありきではない
「ほしい数字や証明がでない」ことや「自分の知識の専門外」に備える
人工知能の父と呼ばれるMIT人工知能研究所設立者のマービン・ミンスキーによる天才の素質
①仲間の圧力に左右されない
②問題の本質が何であるか見失わず希望的観測に頼ることが少ない
③ものごとを表すのに多くのやり方を持つ。うまくいかないときさっさと他の方法に切り替える丁寧にやりすぎることが効率的ではない
メッセージに落とし込む
受け手に以下のようになってもらう
①意味のある課題を扱っていることを理解してもらう
②最終的なメッセージを理解してもらう
③メッセージに納得して、行動に移してもらう「デルブリュックの教え」によると講演・発表の心構えとして
①ひとつ、聞き手は完全に無知だと思え
②ひとつ、聞き手は高度の知性を持つと想定せよ「何に答えを出すのか」を全面に打ち出す
「どんな説明もこれ以上できないほど簡単にしろ。それでも人はわからないと言うもんだ。そして自分が理解できなければ、それをつくった人間をバカだと思うものだ。人は決して自分の頭が悪いなんて思わない」
Complete Staff Work:自分がスタッフとして受けた仕事を完遂せよ
プロフェッショナルの世界は努力は一切評価されない。すべての仕事は結果がすべて