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アパレル・環境負荷が高いと言われる理由①

(2021年4月29日の記事)

アパレル産業が、環境負荷が非常に大きい産業と指摘される今、業界で長年仕事をしている者として「この業種、なんとも存在していて良いのか?!」と感じさせられることも少なくありません。
ここでは、なぜ環境負荷が高いのか?
それをもたらした市場環境とは何なのか?
などについて考えていきます。

・アパレル・環境負荷の原因① … 大量生産・大量廃棄
大きく分けて2つあります。
① 大量生産・大量廃棄
② 環境負荷が高い製造工程
この回では①大量生産・大量廃棄にフォーカスします。

・大量生産・大量廃棄を引き起こした時代背景
その理由はズバリ、アパレル企業が服を生産する仕組みが、大量生産・効率化を追求した仕組みの上に成り立っているから。
そこには時代背景による価値観の変化が関係しています。
詳しくは別の記事で詳しく解説しますが、お客様の価値観は2000年前後を境に大きく変化しました。

-2000年以前 モノが足りない時代
市場には、同じ品質のモノを大量に、効率よく作ることが、企業に求められていました。
ここで求められたのは世界同一基準であり、効率を追求する仕組みは、現在にも引き継がれています。

-2000年以降 モノがあふれている時代
大きな価値観の変化は以下のような現象を生み出しました。
・たいていのモノは既に持っている。だから、新しいモノを買うには明確な理由が必要。
・人と被りたくない。だから、人と違うモノを選ぶ。
・ミニマルなライフスタイルを好む。だから多くのモノを所有したくない。
異なるライフスタイル、細かいニーズに応える商品が求められるようになり、前の時代とは違った価値観が見えてきます。

・原因は…古い製造プロセス
もう同じ品質のモノは大量には要らない。
異なる品質のモノを少量必要とする…そんな市場環境にも関わらず、服を生産する仕組みは以前のまま。
コストも大量に作ることが基準となっていて、それを前提にお客様に手渡される価格も設定されています。
少ししか作らない場合、効率が悪くなるので当然コストは上がる。
それを、大量生産の場合のコストと同じようにしようとするので、必要もない大量の製品を作ってまで、コストを合わせようとする。
だから市場に商品が余る。
余った商品はどうなるか…?
二束三文で叩き売るか? 焼却するか?

…というわけです。

実は、二束三文で売れればまだいい。
焼却すれば、二酸化炭素は多く発生するけれど、その範囲でおさまる。
さらに深刻なのは、廃棄に回された服が、発展途上国に押し付けられ、環境汚染を引きおこしていること。

・アパレル業界の現状
この課題に手をつけることが「待ったなし」だということは、アパレル業界に関わる全て人・企業が意識していると信じたい!というのが正直な気持ちです。

大量生産・大量廃棄を生む業界全体の課題に対して、現時点で正解はありません。
正解は存在しないし、どんな企業にも共通に当てはまる方程式も今後生まれることはないでしょう。
それぞれの企業が企業のパーパスと独自性に根差した答えを試行錯誤の中で実践するために、日々邁進している…今はそんな段階なのです。

・もう一つの課題
もう一つの環境負荷の原因である「環境負荷が高い製造工程」については、別の記事にてお話ししていきます。

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