休学日記 11/27~12/3

11/27(月)
 一昨日昨日とイレギュラーな外食が続き、冷蔵庫に突っ込んだシチューが心配だったが、案の定傷んでいた。まだあと2食分くらい残っていたのでかなりショックだ。調べたら同じような鍋料理でもシチューはカレーよりも足が早いらしい。牛乳が入っているし、そりゃそうだ。早めに冷凍しておくべきだった。シチューのショックを拭えないまま、なにか作ろうと冷蔵庫を覗くと、シチューに使ったじゃがいも玉ねぎ人参がそれぞれ残っていて、カレーか……と天啓を受けたような気持ちでカレーを作った。肉が冷凍庫に鶏ひき肉か鶏胸肉しかなくて悩んだけれど、ひき肉が中途半端な量残っていたのでひき肉を入れた。そしてケチャップと練乳とコンソメを隠し味風に入れてみた。おいしかった。今日の分を食べたあと、明日の分だけタッパーに移して残りは冷凍した。わたしは失敗を次に生かせる、と心の中でおまじないみたいに唱えた。

11/28(火)
 今日は昼間のバイトがなくて暇だった。7時に目が覚めたのに起き上がったのは10時で、その間何をしていたか全く記憶がない。寝ていなかったのは確かなのだけれど。朝から昨日タッパーに移しておいたカレーを食べて、溜まった洗濯を片付けて、メルカリで売れたワンピースの梱包をした。多分もっと安く発送できたが、途中で疲れてしまって宅急便で送った。こういうところがダメなんだと思う。数週間前から首の後ろが乾燥なのかなにかにかぶれたのかわからないけれど赤くなってガサガサしていて、みっともなくて恥ずかしい。この間、バイト先で後ろに立っていた先輩に「首のところどうしたの?」と言われ消えたかった。どうしたんだろう。わたしにもわからない。彼もちょっと気になっただけで他意はないことはわかっているのだが、なんとなく自分の身体のケアも満足にできていないことを責められているようで、一瞬で顔に熱が集まるのを感じた。なんとなくニベアを塗ってみているが、効果はいまいち感じない。皮膚科に行くのがいいんだろうけれど、東京に引っ越してきてから4年間1度も東京の病院に行ったことがなくて、作法がわからなくて怖い。神経を自ら尖らせているのはわたしなのに、むき出しの神経を触られて勝手に傷つくのをやめたい。でもどうやったら神経を尖らせるのをやめられるのかわからない。

11/29(水)
 久しぶりに何もない日だった。昼間のバイトも夕方からのバイトもない。起きたらギリギリゴミの時間に間に合わなくて、先週断捨離した服は今週も玄関に置きっぱなしの運命に決まった。寝てる間に暖かいもこもこの靴下は脱いでしまったらしい。素足で床に散りばめられた服や化粧品を避けながら冷蔵庫に向かう。昨日の夜、金沢で買った車麩を二か月越しに見つけて、現地で食べたかったけれど食べられなかった車麩のフレンチトーストを仕込んでおいた。出来上がったものはもちもちしていて美味しかったが、パンよりはお腹にたまらないなと思った。そのあと、親にこの間会ったときにもらったがあまり口に合わなかったミューズリー(オートミールのようなものでドライフルーツとかも入っている)を使って、インターネット上のレシピを見てクッキーを作ってみようと思い立った。でも分量を測るのがめんどくさいし、ないものも多かったので、結局おおむね勘でクッキーを作った。オーブンも持っていないためトースターで焼く。クッキーの形にはなった。食べて、まずくはないけれどおいしくもなかった。それだけやったらなんだか疲れてしまって横になると、次に起きたのは夕方だった。また寝て一日が終わる。ベッドの上で天井を見ながら、幸せになりたい、猫飼いたい、うさぎ飼いたい、ハムスターかわいい、あたたかいものを手のひらでぎゅっとしてふわふわしたい、と考えていた。ぼんやりと幸せになりたいと思うけれど、幸せってなんだ。衣食住に困っていなくて、休学中だから時間もあって、好き勝手にやらせて貰っているのに、まだ幸せになりたいとか言って何様のつもり?と脳の隅っこで誰かが言っていた。

11/30(木)
 早いもので11月も今日で終わりらしい。10時からカウンセリングに行った。前回のカウンセリングで次回までにメールを2通送ることと、病院の予約をすること、就活の説明会に参加することを目標にしていたのに、結局一つも達成できないまま、相談室の柔らかいソファに座っていた。カウンセラーさんとはいつも目を合わせられない。正確に言えばカウンセラーさんだけではなく、わたしは誰とも目を合わせられない。ぽつぽつといつも通りのこと(とにかく不安だとか、これができないあれもできないとか、全部がこわくて早く終わりにしたいとか)を話して次回の予約をして終わった。最近薬を飲むのをサボっていて、というかわたしはいつも勝手に断薬をしてしまって、それは良くないと言われた。わたしだってそれはわかっている。わかっているし、飲まなきゃと思っているのにどうしてか飲まない。飲めないのか飲まないのかすらわからない。薬の効果を実感したこともあまりない。この薬に意味はあるの?こんなん飲んでもわたしはずっと消えたいですけれど。という思いが拭えない。7月から大学に放置していた自転車をやっと持ち帰る気になって駐輪場に行ったら、知らない間に端の方に移動されていたようで探し回った。文化祭があったから邪魔だったのだろうな、と思った。自転車はタイヤの空気が全部抜けていてひとこぎひとこぎが重く、全く進まず、絶対に引いて帰った方が楽だった。家に着いて自転車を下りると、前腿がぷるぷると痙攣していた。

12/1(金)
 中途半端に物事に敏感になってしまって、それでもおかしさの蔓延した場所で育った土台は変わらなくて、大事なところで途方もなく鈍感で人を傷つけてばかりいる。こんなことならずっとあのクソ田舎で、わたしもまわりの人間もすべてに鈍いまま、女の子なんだから祭りの神輿は紐を引いていればいいよにときめいていればよかったのかもしれない。その対価に元日底冷えのする台所で洗い物をしていたとしても。真っ赤な顔の親戚の男たちが潰れているテーブルの端で、冷えた蟹の身をスプーンでこそぎとっていたとしても。今日は家から1歩も出ていないけれど、暖房代をケチってずっと布団にいたら過去の色んなことを思い出した。生きていてごめん。これ以上色んな人の傷を無意識に抉ってしまう前に、ぜんぶを終わりにしよう。という気持ちになって、気持ちになっただけで終わった。

12/2(土)
 朝から電車に揺られ、東京駅からバスに乗り、姉と共に成田空港にいた。わたしの最初の信仰、SexyZoneさんのコンサートのために福岡に行く。今日から三大ドームツアーで、福岡、大阪、東京を巡るのだ。一番狙っていたのは東京ドーム公演だったのだが、それは外れてしまって福岡だけが当たった。
 わたしとSexyZoneの出会いは小学生の頃で、テレビに映る天使のようにかわいらしいマリウス葉さんに一目でこころを奪われたのがきっかけだった。それまでずっと漫画や小説など平面の、誰かが作り出したフィクションにしか興味がなかった子どもが、急に生身で歌って踊るアイドルにハマったものだから母親が驚いていたことを覚えている。姉も同じ頃にSexyZoneを好きになり、中学生になると部活の先輩の影響もあってファンクラブに入会した。それから毎年コンサートに行ったり、雑誌を買ったり、CDを買ったり、SexyZoneはわたしの生活の一部で、マリウス葉さんはずっとわたしの天使だった。彼は間違いなくわたしの運命だったし、マリウス葉さん以上の運命はたぶんこの先もう現れない。あとは全部余生、なんて言い切るのは早いかもしれないけれど、それくらいの存在だった。これは彼に出会ってその考えや価値観に触れて、わたしの根幹が間違いなく良い方に変わったからで、今のわたしはマリウス葉さんがいないと出来上がらなかった。今でも大好きで尊敬している。彼がこれから先ずっと誰にも貶められることなく、理不尽な世界に傷つけられることなく、彼の哲学をずっと守っていけるように心から願っている。
 さて、オタクお得意の感情ポエムを披露させていただいたけれど、わたしはマリウス葉さんが卒業した今もまだSexyZoneが大好きだ。4人が大好きで、これから先の未来も4人が見せてくれる景色を見たいと思っている。だから今日も福岡に来た。そしてその選択は間違っていないと自信を持って言えるくらいのコンサートだった。ライブ後半はずっと泣いていて、今も油断すると泣きそうだ。まだツアーは続くので細かい言及は避けるけれど、これから先も絶対ぜんぶ抱えて大事にしてくれるって信じられるSexyZoneさんが大好きだ!と思った。こんなに本人たちによる福利厚生が手厚いアイドル他にないから、幸せにしてほしかったらSexyZoneだよ、みなさん。Justいましかない。正しい意味での使い方ではないことは重々承知の上であえて言うけれど、SexyZoneを好きでいること、ひいてはマリウス葉さんを好きでいることはわたしにとっての信仰で、それはマリウス葉さんがアイドルでいることを卒業した今も変わらない。SexyZoneさんへ 花道だけを歩いていこうね。マリウス葉さんへ You are the angel foreverだよ本当に!

12/3(日)
 福岡2日目。少しだけ観光をしてから夜の飛行機で東京に帰る。大宰府に行き駅の近くのレトロな喫茶店で軽くブランチをして、通りで梅ヶ枝餅を買って食べ、お参りをしてお守りを買った。就職と学業のお守りのふたつ。帰ったら神棚(と呼んでいる壁に画鋲で取り付けている棚)に飾ろうと思う。ちなみに今はそこにはこの間のテニミュ運動会で爆裂ファンサを貰った色紙と、テニスの王子様界でもっともラッキーな男千石清純さんのブロマイドが飾ってある。大宰府の天神様と喧嘩しないでほしい。その後天神に移動して、めんたい重のお店に行ったがテイクアウトのみの営業の日だった。残念だけれどしかたないので駅に戻ろうとしたら、これまたレトロでかわいい喫茶店があった。わたしはレトロ喫茶に目がない。店内に入ってあんみつとアイスティーを頼んだ。どうやら市民会館かホールか何かが同じ建物内にあるらしく、お客さんの年齢層は高く落ち着いていた。あんみつでほっと一息を吐きながら姉に「せっかく福岡来たのに喫茶店ばっかり付き合わせてごめんね」と言うと、「なんで?いいじゃん!」と言われた。わたしは姉のことを手放しで好きだと言うにはもう彼女のことを知りすぎてしまっているし、彼女によって壊されたものと与えられた傷がありすぎる。でも手放しで大嫌いだと突き放すこともできない、と改めて思った。お土産を買ったら早めに空港に行き、福岡空港のラーメン滑走路で福岡ラーメンを食べた。美味しかった。保安検査場も早めに通過して、ゲートの近くで休憩しつつ登場時刻を待った。今度来る時は屋台も行きたいし水炊きも食べたい。

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