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【修正済】密かな憧れ

 どうもこんばんは。墨色そうめんです。

 今回はわたしの密かな憧れについて書かせていただきます。

 わたしの憧れるもの、それは献血です。

 「何を、献血くらい普通にすればいいじゃないか!」と思いましたか? 思ったでしょう? わたしもそう思います。しかし、現時点ではできないのです。

 理由は簡単で、何を隠そうわたしはめちゃくちゃ注射が苦手だからです。

 成人にもなって恥ずかしいことは承知しています。でも怖いものは怖いんです。
 インフルエンザの予防接種も、小学生の頃から「俺は痛くなかったぜ!」「上手い先生が打ってくれたから大丈夫だった!」と同級生がドヤ顔をしている中この世の終わりのような気持ちで受けていました。今でもほぼ毎年欠かさずに打っていますが痛くなかった試しがありません。高校生の時は、自分でもあまり覚えていないんですが、半泣きになって落ち着くまでベッドに寝かされていたらしいです。大学生なんだから流石にもうイケると思って打つと今度は「『ウッ……』って声出てたよ」と指摘され、流石にそろそろ大丈夫だろうと打った前年度は「震えすぎ」と呆れられました。声は出てなかったからいいじゃないか。

 この注射嫌いは予防接種以外のところでも遺憾なく発揮されており、胃腸風邪で点滴を打たなければならなくなった際にも「もし他の処置が可能ならそうしてもらえませんか……?」と看護師さんに頼み込んで結局は薬の処方に変えてもらったことさえあります。実に情けない限りです。当時お世話になった看護師さん、わがまま言ってごめんなさい。

 注射が得意な人は口を揃えて針を注視できると言いますし、彼らはわたしに「目を瞑ってるうちに終わるよ」「針を見なきゃいい」とアドバイスをくれます。これは同じく注射が苦手な方ならわかってもらえると思うのですが、目を瞑って生じる違いは「いつ刺されるかわからず覚悟のタイミングが掴めない」というデメリットのみです。むしろ視認していない状態でお医者さんが注射を刺す部分に消毒を施すひやりとした感覚や注射針が迫ってくる空気を感じると余計に背中がゾワゾワします。目を瞑ろうが何をしようが身体に針を刺されるという事実は変わらないため、アドバイスをくれる方には申し訳ないのですがあまり意味はありません。こんなことを考えながらも、実際は針が迫ってくるのを目視する方が怖いので結局目を瞑るのですが……。

 自分がこれだけ注射が嫌いであることはわかっているので、本来わざわざ苦手なはずの腕に注射針をぶっ刺しに行く献血は忌避して然るべきなのでしょうが、街に出ると切実そうな声で献血の札を掲げた方が呼びかけをしているので居た堪れなくなります。大学に献血カーが来ていた時も「注射苦手なので……」と断るのが物凄く申し訳なくなりました。人助けになるとわかっているので可能ならば参加したいのですがクッソ怖無理やめとこという気持ちが先行して参加できた試しがありません。

 ……などというかなり善人めいた理由があることも事実ですが、「無料の手軽な暇つぶし」と検索して出てくる献血ルームが魅力的すぎるという理由の方が大きいです。おやつやジュースはしこたま貰え、お土産ももらえる。その上無料だし人助けにもなるとくると飛びつきたくなります。針さえ刺されなければ。ネットカフェで同じように時間を潰してもそこそこお金がかかるというのにこれだけ至れり尽くせりで無料とは何という贅沢。針さえ刺されなければ。わたしは一人で街中をぶらつくのが好きなのでその休憩がてらふらっと入るのにはとても魅力的です。針さえ刺されなければ

 そういうことなので、結論としては入れない。今日も献血を呼びかけるお姉さんの横を早足で歩き去る。何故なら注射が苦手だから。
 さらに献血が好きな父親曰く、血を抜く時の針よりも最初に施される血液検査の方が痛いとのこと。メインフェイズたる血液を抜く過程すら痛そうで尻込みするのに、それ以上に痛いことがあるとは。そもそも痛い過程が2回もあるなんて聞いてねーよ、と。耐えられる気がしません。

 これらの臆病っぷり故に題の如く献血が憧れと化しているのですが、可能ならば大学の卒業までに一度は経験したいと考えています。痛みを乗り越えればユートピアが待っていると考えれば出来そうな気もしますが、そもそも今までそのような天国のような空間があると知りつつ一度も行けていないことを考えると注射が苦でない友人に引きずって連れて行ってもらった方がいいのかもしれません。
 もしもこの憧れが実現することがあれば、その時はまた記事にさせていただきます。実現できるといいですね。

(追記: この後一度献血ルームで血液検査をするところまでは漕ぎ着けたのですが、自分の指から出てくる血を見た瞬間意識が朦朧とし始めて気がついたらベッドに寝かされていました。「ちょっと今日はやめとこっか」と哀れな人間を見る目で看護師さんに顔を覗き込まれたのが忘れられません。悔しいのでまたリベンジします。)

 では、今日はこの辺りで。

 墨色そうめんでした!

わたしへのサポートはクラゲの本を買ったりプロテインを買ったりするのに使われます。