大きなイベントを終えて

今日は相方の誕生日である。
本人は九州日帰り出張で帰宅は深夜になるらしく、今年はディナーはなしの、日付が変わる前に帰ってこれても来られなくてもお酒で軽く乾杯でいいかなと思っている。

バースディランチライブというイベントを一昨日の日曜日に終えて、昨年の時と同様、また始まりを迎えた。

知っている人の前で演奏をするということがいかに恵まれた環境かとわかるのは、一年間ドサ回りをしてきたからであろう。

といっても、それほど頻繁ではなく、全国巡業をしてきたわけではないのだが、ゲスト出演、ショッピングモールの野外ステージ、商店街のお祭り、町の音楽祭、パーティイベント、ほぼ見知らぬ人たち、初めて聴いてくださるお客様の前での演奏、それらを経て、ホームグランドでのバースディライブであった。

一流の人たちに囲まれた環境でのイベント。

会場は豪華なレストラン。
誰もが尊敬する同級生のソムリエにお世話になった。レストランを貸切で行うならば、一般的には立食パーティである。
そこを無理を言って着席でお願いしていて、かなりわがままを押し通してしまった。それが叶うのも長い間の友情ゆえで、だから、私は、感謝してもしきれないね、と相方には何度も言う。

音響クルーは、思わずうなり声が出てしまうほどの腕前のPAさんで、相方の声が一番伸びるところを拾ってくれていた。
所持しているマイクで録音していたものを自宅で聴いてみると、

「いやあ、PAさん、うまいねえ。すごいね、音がまわってるね」

とため息をついた。

動画カメラマンは、テレビ番組並みの５台以上のカメラや機材を持って撮影に臨んでくれていた。相方の仕事関係の人で、おそらく特別待遇である。

きっと、愛、なのだと思う。

イベントを盛り上げたい、という思いが、バンドメンバー、ソムリエ、レストランスタッフ、PA、カメラマン、そして、お迎えしたお客様に伝わり、それがパフォーマンスへと力を注ぐ。

プロたちが作り上げる舞台の上に立たせてもらえることの高揚感は必ずいいものとなる。

だとしたら、あとは精一杯やり遂げるのみで、そのステージが次の課題を提示してくれる。

私も同じである。

作品を軸にする時、職人さんの溜息の出る腕前に平伏するばかりで、これほどに丁寧に仕上げてくださるのだから、良い作品を描かなくては、と襟を正す。

日本橋にある書画材料専門店に相方と一緒に行き、作品を預かってもらった。
柄選びも付き合ってもらい、これかなあれかなと目移りしながらそれでも選びきれず、お店の若旦那さんに選んでもらったのであるが、さすがのセンスで、最初からお任せにすれば良かったと思った。

裏打ちをして、軸にしていく。

その工程は、まさに職人技である。

拙い我が作品を熟練のプロに仕上げていただくことの喜びに、身体の血潮が凄まじい勢いで駆け巡るのを感じる。

相方もそうだろうなあと思った。

舞台は、最高に仕立てあげられた。

あとは、そのパワーをお客様に伝えるだけであった。

果たしてその結果はどうであったか。
今できることはできたのではないか。

しかし、録音を聴けば、やはり発声からやり直しをした方がいいという結論となる。
オリジナル曲は、歌詞も変えた方がよく、キーも変えて、リニューアルする時期に来たようである。

道は続く。

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