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2018年12月21日 UVERworld男祭り:全てを差し置いて優先するもの

そのチャンスは、前夜突然訪れた。

UVERworldの男祭りに、センター席スタンディングで参戦するチャンスが。

2018年12月21日に横浜アリーナにて行われたボーカルTAKUYA∞のバースデーライブは、男性限定で開催された。

いわゆる「男祭り」である。

2017年に、さいたまスーパーアリーナにて男性限定23000人という日本記録を叩き出した彼らは、この日に再び横浜アリーナを舞台に伝説を巻き起こしたのだ。

男祭りの特徴は、アリーナのセンター席を開放し、スタンディングでおこなうこと。
この日だけはダイブ、サークル、モッシュ等何でもありなのだ。

僕も、2015年に神戸で一度経験した。あんな暑苦しくて、あんな燃えたぎる空間を忘れるわけがない。

唯一、何をしても許される場所であり、唯一、何をされても許せる場所。
それが男祭りのスタンディングなのだ。


そんな、スタンディングのチケットが、ライブ前日に追加販売された。

「あの空間をもう一度味わいたい」
「あの情熱をもう一度掴みたい」

そんな想いに駆られた僕は、その案内を見た瞬間にチケット購入を決めた。
スタンディングで参戦。

突然訪れたこんな機会。
僕が何を感じたのか、どんな光景が繰り広げられたのか、ここに記そうと思う。

僕が、他のどんなことも差し置いてUVERworldのライブに参戦する意味が、ここに記されるのだろう。

**********

僕は、感情をさらけ出すことをあまりしない。苦手でもあるし、敢えてしないようにしている。

その行為には、さほど意味がないことを知っているから。

でも、UVERworldのライブだけは特別。
そして、男祭りのスタンディングはもっと特別。

僕が唯一全ての感情をぶつけられる場所なのだ。

喜怒哀楽をさらけ出し、明日の何かにつかみたい。
そう思えるパワーが、彼らのライブにはある。


会場は、始まる1時間前から男たちの歓声が湧き上がる。
男祭りでは恒例の景色だ。

「オ・ト・コ!オ・ト・コ!」
「TAKUYA∞!TAKUYA∞!」

などと、盛り上がればもう何でもいい。それが許されるのが男祭りなのだから。


そして、19時00分00秒。一秒たりとも狂いなく始まるUVERworldのライブ。この日も、そのスタイルは変わらなかった。

00.TYCOON
01.Q.E.D.
02.7th Trigger
03.WE ARE GO
04.Don't think.Feel
05.ENOUGH-1
06.ハルジオン
07.ODD FUTURE
08.GOOD and EVIL
09.PLOT
10.NO.1
11.畢生皐月プロローグ
12.PRAYING RUN
13.ALL ALONE
14.SHOUT LOV歌うわけねえだえろ!
15.GOLD
16.EDENへ
17.Ø choir
18.Massive
19.CORE PRIDE
20.ナノ・セカンド
21.零HERE
22.IMPACT
23.7日目の決意
24.在るべき形
25.MONDO PIECE

これが、今回のセットリスト。
この中から、深く印象に残った曲をいくつかピックアップすることにする。

06.ハルジオン

「仲間のうちの何人かはあの空にいるから
俺は上を向いて歩いていく」

この歌詞が印象的な一曲。横浜アリーナで歌っている印象が強いこの曲だが、まさか男祭りでやるとは思わなかった。

この曲に、TAKUYA∞自身の「仲間論」が凝縮されている気がしてならない。


彼は、仲間を得るものではなく失うものと捉えているのではないだろうか。

好きなことをやってどんどん仲間を増やしていくのではなく、かっこいい生き方ができなければ今近くにいる仲間が離れていってしまう。
そういうメッセージをこめた曲がいくつかあるのが、UVERworldの強さであり弱さなのだろう。

でも、だからこそ、仲間のうちに別れていった人は、いつまでも仲間と呼んでいたい。
たとえこの世にいなくても、仲間と思い続けたい。
誕生日を迎えたこの日、TAKUYA∞は改めてそう感じたからこの曲を選んだと思う。


この曲が演奏されているとき、ミラーボールに反射して会場全体を照らした光が、TAKUYA∞の思い描く「空」を表現しているような気がした。

輝く無数の星の中で、ずっと輝いていてほしい。巡るめくあの世でも、一つの星となって輝いていてほしい。

そういう想いが、ミラーボールでの演出の決め手となったのではなかろうか。

だから、僕は、TAKUYA∞は「空」ではなく「宙」に歌っているような気さえした。

どこにいるのか特定できないけど、きっと目の前にいる仲間のため。


こうやってきれいごとを書いてしまっているが、それが整理しきれない想いであることも十分理解している。

それが、イントロ後のメロディ、そしてアウトロのときに繰り出されるアップテンポさ。それを表すような真っ赤なライティング。

仲間を想うときは、グシャグシャな気持ちになりながら進む。
そんなTAKUYA∞の想いが凝縮された空間だった。

13.ALL ALONE

あんなTAKUYA∞の姿、初めて見た。ライブに30回ぐらい参戦しているが、本当に初めてだった。

ステージ上で泣き崩れるTAKUYA∞の姿を。


「お前は、何になりかったんだよ!」

ステージでそう泣き叫ぶ彼の姿を見て、感情が動かされないわけがない。

「滋賀で生まれて、滋賀で育って、俺はとにかくアーティストになりたかった」

18年前、何者でもなかったTAKUYA∞が、今日のステージを思い描いていたかと聞かれると、絶対嘘になるだろう。

学校にも行かず、家出をして、貧乏舐め回していた青春時代でも、一縷の望みを信じ続け、18年後に男性15000人を横浜アリーナに集めてバースデーライブができるバンドになった。
その、滋賀でもがき苦しんでいた時代が垣間見え、僕も涙が止まらなかった。


この曲は、「やりたいことを見つける方法」を僕に教えてくれた曲。

「好きなことをやれ」「やりたいことを見つけろ」なんて声が頻繁に聞こえてくるようになった現代社会。

やりたいことをやっている人のかっこ良さを色んな媒体で知ることも多いが、「やりたいことなんて簡単に見つからねえよ」と思う人が大半だろう。

僕もそうだった。
26年10ヶ月もの間、やりたいことなんてなかった。
色々やりたいことを言ってはみたけど、心からそう思えないものばかりだったのが実際のところ。

だけど、ALL ALONEという曲が教えてくれた。

やりたいことを見つけるためには、「悲しみと向き合うこと」。
悲しいときに自分が選んでいるものこそ、ずっとやり続けたいことなのだろう。

どんな感情でも選ぶことが、自分のやりたいこと。それが、TAKUYA∞の場合は音楽だった。

悲しかろうが、嬉しかろうが、それを表現してくれたのが音楽。
だから、音楽に生き音楽に死ぬ生き方を、滋賀で見つけたということだろう。

悲しみと向き合って選んだからこそ、TAKUYA∞はこの曲でこうメッセージを送っているのだ。

「お前は お前のやりたいことをやれ」

19.CORE PRIDE

プライドを持って生きること。
この重要性を、まざまざと見せつけられたステージだった。

何かに行き詰っているとき、何が自分を食い止めているのだろうか。
自問自答を繰り返しても、答えは出てこない。

そうして、知らず知らずのうちに自分の胸を押さえつけてしまう。
だから、ここぞで一歩が出なくなる。
そんなモヤモヤを抱きながら生きている人も少なくないだろう。

UVERworldも、デビューから数年は思ったような音楽活動ができなかったそうだ。
色んな大人の思惑が交差し、服装や曲は自分たちの意向ではなく不特定多数の意向を汲んだものに仕上がってしまう。

確かに、ファンは応援してくれているけど、自分たちが望んだ形ではない。
それを繰り返すうちに、自分たちが何をやっているのかわからなくなっていったそうだ。

やりたいことをやれてはいるけど、思ったような形ではない。自分たちを表現しきれていない。
そんなモヤモヤの中で生きてきたのだろう。


2011年にリリースされたこのCORE PRIDEという曲は、過去を払拭し新しい時代を進むはじまりとなった一曲だ。

元々6人で活動していたのに、5人でメジャーデビューすることになったこと。
それでも6人で同じ道を信じ続け、それを全面に打ち出し始めた1曲がこのCORE PRIDEなのだ。

UVERworldのプライドは「6人であること」に他ならない。


見事に、周囲が想像した未来を変えてみせ、自分たちらしく進み続けているUVERworld。

今回のライブでは、この歌詞に大きなメッセージがこめられているような気がした。

「もうどうなったっていい 格好悪くったっていい
死に物狂いで未来を変えてやる
どうしたって変われない運命だと言われても
まだ俺は変われる 自分で変えてみせる
これがそうプライド それぞれの場所で」

今は満足いくような生き方ができていなくても、変われる。
自分で変えられる。
周りが勝手に判断した自分に成り下がってたまるもんか。

そんなUVERworldの強い意志に魅せられ、僕自身も未来を変えたいと思った。

自分の力で。

**********

男祭りにスタンディング席で参加して、本当に楽しかった。
今年一番苦しい空間だったけど、だからこそ希望に手を伸ばし続けられたのだろう。

唯一、何をしても許される場所であり、唯一、何をされても許せる場所。そこで得たのはこんな気持ちだった。

「僕が欲しいのはこの感覚だ」

改めてそう思う男祭りだった。湧き上がる自分の強い意志を大事にして生きていこう。


タイトルに用いた「全てを差し置いて優先するもの」という言葉。

現在の僕が、全てを差し置いて優先するものがUVERworldのライブであるから、この言葉を選んだ。

彼らの強い意志を感じ取りたいから、湧きたつ想いが欲しいから。自分の本気を見たいから。
だから僕は、UVERworldのライブに行くのだ。

そんな空間にいて、こんなことを思った。

「僕も、全てを差し置いて選ばれる存在になりたい」

アイツと会えば何か得られる。アイツの話を聞きに行けば霧が晴れる。
そんな存在になりたいと心から思った。

先の未来に、僕が何を選んでいるかはわからない。
でも、「太陽になりたい」という想いは絶対に変わらない。

それを改めて気づかせてくれた男祭りだった。


これを読んでくれた方も、そんな風に心が震える瞬間を大切にしてほしい。
もしそういうものが何もないのであれば、まずUVERworldを聴いてみてほしい。
それが僕の心からの願いだ。

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