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映画「杜人」の感想

先日、久しぶりにミニシアター系の映画館で映画を見にいってきた。
「杜人」という映画。

この映画は環境再生医、矢野智徳さんの活動を追ったドキュメンタリー映画なのだけれど、日本の土壌環境と、それがもたらす災害のことなどにも関係してきていて、多くの人にぜひ見てほしい映画でした。

環境再生医、という言葉、私ははじめて聞いたのだけど、要は人間の手によって呼吸ができなくなってしまった土壌を、もとあった環境の水の流れや大地のありかたに近づけるようなことをしていくお仕事。
こうういうお仕事自体あることを知っている人がどれだけいるんだろうか。。

戦後、日本全国でどんどん土がコンクリートでかためられていって、山の地下の水の流れがとどこおって、土砂崩れが起きたり、川の流れをコントロールするために砂防ダムを作って、逆に河川の氾濫がおこったり。。

近年の大雨による全国各地で起こっている、大規模な災害が、ただの気候変動のための天災ではなく、人間が引き起こしている人災でもあるんだな、と。

そのことに小さな部分から少しずつでも、人間が手を加えて土壌改良ができるんだ、ということが救いだなと思った。

矢野さんが、小さなスコップや鎌を使って身近な場所の小さな環境を少しずつ整えている様子も、小さなことから大きなことが変わっていくようなかんじがして、こころに響いた。

鎌を使った“風の草刈り“ということもやっていらっしゃたのだけど、これは雑草だらけの藪に、自然の風の流れができるように、少しずつ草をまびいていくように、鎌で手入れをされていた。手を加えるまでは鬱蒼としていた藪だったのに、少し草の間に空間ができることによって、風がとおっていって草がいきいきとしてみえた。


この映画を見て、何かすぐにできることは、今は思いつかないけど、こういうことを知っているか、知らないのか、というだけでも、普段の生活での意識が変わってきて、自然への見る目も変わってくる。

数年前から大規模な宅地造成が家の近くで行われている。たくさんの木が切り倒されて、山の斜面が緑色から、土の色に変わって、そして、土地が整備され、家が少しずつ建ち始めている。

きっと数年後には、新しい住宅街が完成されて、きれいな家が並んで、街路樹なんかんもきれいに並べられ、新しくてきれいな住宅街だな、なんて思うんだろうけど、以前の森だった頃のことを思うと、なんだかさみしいような、悲しい気持ちになる。

人間がこうして、どんどん大地に手を加えて、土地を改良して、あげくの果てに災害がおきやすい環境を作っているなんて、自業自得というか、自分たちがしたことのつけがまわってきただけの、仕方ないことなのか、と思ってしまう。

今から、自分が出来ることなんて、小さなことしかないけど、ガーデニングでも、小さな畑でもいいから、土に近い生活をして、身近なことから何かできることをやっていきたいなと思う。

そんないろんな事そ考えさせられる映画でした。



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