成人式、そのあとで



1月9日、成人式を終えた。


2月生まれの私。19歳で成人式。
行きたいとも行きたくないとも思ってなかった。
懐かしい話とか正直いらなくて、同窓会も断った。
和装が好きだから振袖は着たかったし、幼なじみと写真も撮りたくて、だから別に、成人式そのものはどうでもよかった。


成人式を終えて、各々が仲の良かった人やそうでもなかった人と写真を撮り合っていた。
特に輪に入るでもなく端っこで眺めていたら、誰だかわからない男の子に声をかけられた。
久しぶりやね、元気やった?今何しとる?

1m横にいるあなたとの間には5年の歳月があるのに、どうしてそんなに親しげなんだろう。

その人は、浴衣も綺麗だったけど振袖似合ってるね、かわいいね、と言った。
私の浴衣をよく知っている人だった。


ああ。
ちょっと挙動不審。キザなことは言えないけど、絶対に人を傷つけないように言葉を選ぶ。
たぶん昔もこういう人だったなと思った。
元彼はちょっと垢抜けて(スーツ効果かもしれない)、でも佇まいも話し方も変わってなくて、少し緊張しているように見えた。

最初誰かわかんなかったのは黙っとこ。
ありがとう、いいでしょ。
どうでもいい世間話してたら電話がきた。
ばいばいも言わずに元彼は視界の外。

成人式で元彼と再会なんて、ちょっと年齢層高めの少女漫画なら恋愛まっしぐらだろうな。
こんなにあっけないもんか。
記憶の美化は怖いなあ。

好きなまま別れたはずの元彼はただの元同級生になっていて、もうどうでもいいな、と思ってしまった。
この人はもう私の人生に登場しないんだなと悟った。
少し寂しかった。


電話越しに「ついたよ」と言った私の恋人は、花束を持って迎えに来た。
まだ20歳になってない私の成人式を私よりも大事にしてくれる人。
小さなピンク色の花束、ベタなことをして少し照れて、でも絶対私が喜ぶってわかっててやっている。

去年の私の誕生日、付き合って間もない頃にプレゼントしてくれた白い水引のイヤリング。
成人式でつけるね、ありがとう、なんて言った頃がもう一年近く前になっていて。
本当につけられて嬉しかった。

愛されてきたなあ、愛されてるんだなあって、20歳目前、改めて実感。




成人式、そのあとで
大切だった今はもういらないものをしまって、必要なものをだきしめた。

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