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#11 ジャンルを越境して繋げていく 人と情報のネットワークが印刷会社の資源 藤原隆充さん

どうもスミゾウです。
自分が是非会いたい人、話を聞きたい人へラブコールを送り、その内容を記事にしていく100本ノック中です。
参考:スミゾウnote始めます。

今回は、長野県松本市の藤原印刷株式会社の藤原隆充様(以下、藤原さん)。約65年前にタイピングから創業され、1文字1文字に心をこめ、1冊1冊を大切につくるという「心刷」の精神を大切にされています。

本や教材の出版社からの印刷物が約7割、デザイナーの要望に応える特殊本製作や地域の広報PRなどの新ジャンルが3割のお仕事比率になっているようです。


今回お話しを聞くきっかけになったのはこの記事
「家は、建築家や設計士がいて、木材や床材、壁材を何にするか、自分の理想や大事にしていることを込められる。高価な買い物なので一生に1回くらいしか経験できないですが、本はそれよりも手軽な値段で、自分の哲学や思想を詰め込むことができます」“記事から引用”
スミゾウと同い年で、同業者のこういった思想をしている方とお話ししたいと連絡させてもらいました。
快くOKして頂きありがとうございます。

■藤原印刷株式会社WEB https://www.fujiwara-i.com/
■note  https://note.com/fujiwaraprinting
■インスタグラム  https://www.instagram.com/fujiwara_printing/

印刷会社を継ぐ為に移住

会社


「実は生まれも育ちも東京という事もあり、松本市にはあまり思い入れが無いんです。今はどこでも生きていける時代だと感じています。大学を卒業し、他の企業で働いていましたが、長男という事もあり家業を継ぐべく入社しました。」


印刷会社の資源は人脈と情報ネットワーク

「間口の広い、人と情報のネットワークが印刷会社の資源だと考えています。その情報を基に、足し算や掛け算の感覚でお客様の課題解決していく事ができます。極論、印刷物を作らなくてもいい、人と情報が集まるハブ機能が印刷会社の担っている役割ですよね。」
と藤原さんは語ります。
スミゾウも大賛成です。特に地方の印刷会社はその機能が強いと思います。一度は製造業へ寄ったのですが、元々の印刷会社の意義はそこであったと感じています。


「社内に広報の専属担当がいる中小企業は多くありません。そういった企業は自社のPRがあまり得意ではないので、当社がヒアリングを行い新聞、ラジオ、テレビなどのメディアに情報を流す。取り上げてもらえると、それがお客様の成果につながる。関わらせてもらった企業では、地域媒体から東京のメディアまで繋がり、売上が伸びました。この仕事は印刷物はほぼつくってないんですよね。」
このプレスリリースの仕事は、やり方やメディアとの人脈があればできる事です。ただ、いきなり地方の中小企業では難しい。メディアも地方の明るい情報はとても知りたがっている、顧客、メディア、印刷会社ともにうれしい仕組みですね。

「次のステップは異なる課題と課題を結びつけて解決方法を考えることです。例えば、修学旅行に行けない学校と店に人を呼びたいセレクトショップを繋ぐ授業を企画しました。企業のデザイナーが学校でPOPの授業を行い、作成したPOPを1ヵ月間販売店舗に設置。実際に売上がどう変わったかリアルな商いを学ぶ機会を提供する企画です。」

藤原さんは松本市に移住した際に、子供達が経済やビジネスを学ぶ環境が少ない事を感じていました。社会の中で学ぶ機会を見つけ出せれば、学校の中では得られない機会をつくることでき、子供達の深い学びへ繋がります。一方、店舗にとっては集客のきっかけとなり、従業員のモチベーション向上に繋がります。異なる課題を組み合わせることで両者に貢献できる企画が印刷会社によって実現することができます。

印刷はあくまで1つのアウトプットでしかない、お客様の成果に貢献するのが大切とスミゾウも社内で良く話をします。今までは印刷物自体で対価を頂いていた事を、別の場所で対価を頂く仕組みをしっかり体系化されている藤原さんのすごさを感じました。

紙、本の意義は安心と信頼

心刷の広告

社内に掲示されていた、心という文字が印刷と関わっている造語漢字


「最近はリアルに存在する物への欲求が強まっていると感じています。WEB上には様々な情報がありますが、紙・本というリアルな形にすることで安心・信頼できるという感覚だと思います。印刷会社は、家で考えると建築士、こだわりたい時はどんな仕様、設計が本にできるかを早い段階から一緒に考える事でいい本ができます。」

なんでもスマホで情報が得られる時代になったからこそ、こだわった本を作りたい、形にしたいという人が一定数いる。特にデザイナーさんは、こだわりを持って表現をしたい。そこにしっかり寄添い、希望を叶えるのが藤原さんの仕事スタイルのようです。

「今後、再生紙を自社でつくれる設備を導入する予定です。紙は1度使われると捨てられる事が多いですが、持続可能な世の中にしていくために、再生紙にストーリーができるのでとても可能性を感じています。」
例えば、イベント参加企業の捨てられる紙をリサイクルしてイベント時に使う、学校で子供に配られるプリントを再生紙にして卒業証書にするなど。シュレッダーよりも確実に情報漏洩がなくなるので、行政も導入しているもそうです。高山市にも提案できないか?とスミゾウは感じました。


人と人をジャンルを越境してつなげていく


「私は70点しか取れない人間だと思ってます。あまり頑張らなくても点はとれるが、突き詰める事ができない。印刷業界にはマイスター(職人)が多いです。そういった人は自分のジャンルには強いが、他のジャンルへの説明や繋がりが苦手だったりします。それを越境して翻訳して伝える人が重要。自分ができる役割はそこだと思ってます。」

この感覚はスミゾウにもあり、私は1つジャンルを極めて来なかった事がコンプレックスでした。ただ、藤原さんがおっしゃったような事が得意な意識はありました。これからはその部分を意識していこうと感じました。

これから


「跡継ぎは大体みんなそうだと思いますが、やっている仕事自体は急に変わりません。既にやっている仕事の切口を変え再定義する。そこをしっかりやっていけばまだまだ印刷会社はチャンスが大きくあると思っています。いつか一緒にスミゾウさんとも仕事したいですね。」

はい、是非お仕事したいです。お時間ありがとうございました。


スミゾウズアイ


同年代という事、考え方が近しいという事で勝手に親近感を覚えました。ただ、藤原さんは既に体系的に会社の仕組みをしっかり変えている、また社内に弟さん含め右腕となる方が多くみえる。その辺りが私の現状より進まれているというのを感じました。
本社は綺麗で整備された工場、伝統的な階段や、今まで力を入れて作られた本などが飾られていました。
私や当社のレベルを上げて、いつか一緒に仕事できるようにしていきたいです。
飛騨高山から約2時間の地にステキな印刷会社がある事を実感でき力をもらった1日でした。

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