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#12 プロセスとアウトプットが連動しているのが好き 平本知樹さん

どうもスミゾウです。
自分が是非会いたい人、話を聞きたい人へラブコールを送り、その内容を記事にしていく100本ノック中です。
参考:スミゾウnote始めます。

今回は「クリエイター」「デジタルファブリケーションの専門家」「コミュニティスペースの企画設計」など、様々な顔を持つ平本知樹さん(以下、平本さん)。
大学院では3Dプリンタなどのデジタルファブリケーション技術を専攻し、「3D Printing Handbook」も執筆されています。

2020年4月に開業した高山駅前のホテル「東急ステイ飛騨高山 結びの湯」では、コンセプト作りから設計まで総合的に企画担当をされました。現在は飛騨高山を拠点の一つとし、株式会社wipの代表取締役をされています。
●平本さんのWEB  http://tototomoki.com/
●執筆した本 https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784873116327
●東急ステイ飛騨高山 結びの https://www.tokyustay.co.jp/hotel/HTM/rooms/
●平本さんの出演したTEDxTOKYO  https://youtu.be/vqVb7heKilA

デジタルファブリケーションとは(総務省) 

プロセスとアウトプットが連動しているのが好き


「プロセスとアウトプットが連動しているのが好きです。表面だけ取り繕うのではなく、結果にたどり着くプロセスもふくめて大切にしています。綺麗な場所でものづくりする方が、綺麗なものができる気がしませんか」と平本さんは語ります。
そんな考えに至った背景をひも解いていきます。
大学時代、平本さんは建築設計事務所のアルバイトをしていました。模型をつくり、窓のサッシが3分割と4分割のどちらが良いかといった建築におけるディテールの検討を連日していたそうです。ただ、3件連続で携わった物件が完成できなかった経験をしました。自分が必至に考えたものが実物にならず、アウトプットが実際に見えやすい世界に行きたいと考えるようになったそうです。
そして当時メディアアートの研究をしていた田中浩也氏の研究室で修士課程を学ぶ事を決めました。そこで、入学の3日ほど前に事件が。

「先生から急に呼出しがありました。そこで、「研究室では今後、デジタルファブリケーションの研究をします」と宣言されたんです。だから、別の研究室にいってもいいよ、と。若干戸惑いましたが、その場にいたもう1人の同期は即答で、「先生にご指導頂きたいのでついていきます」と言ったので、じゃあ自分もという流れで決めました。」
Keio SFC Hiroya Tanaka Lab(田中浩也氏の研究室)

デジタルファブリケーションの世界へ

大学院に入学したそばから研究室のテーマが変わるという変化を乗り越えたその翌年には、田中浩也氏がMIT(マサチューセッツ工科大学)に1年行くことに。
「当時、大学としてもデジタルファブリケーション機器の導入を始めていたタイミングで、様々な機材が、研究室に納品されていきました。先生から、「届いた機械たちを使えるようにしておいて」と言われましたが、組み立てが必要なものがあったり、機材によってはマニュアルは英語のみだったり、部品が足りなくてメーカーに問い合わせしたり、、、この時にいろんな機械を触ることができて今振り返ると、とても充実した時間だったなと感じます。」
使用した事のない装置のセッティングや、英語から翻訳しながらのレクチャーはかなり大変な事だったと推測できます。それをやり切って今の平本さんがあるんですね。
その過程で、技術に対する考え方の転機が。
「3Dプリンタでつくった椅子に座ったら、すぐに壊れたんです。これは、構造をより勉強しないとダメだと感じました。そこで、構造設計部門もある会社を選んで就職したんです。その会社では数年働きましたが、社内ビジネスコンペで、私が提出したものが会社上層部で高評価になりました。ただ、その会社では事業化しにくいので、ビジネスモデルを持って独立すればという空気感になり、起業しました。」
日頃平本さんを見ている中で、自分で物事を決めてきているであろうと想像していました。しかし、過去のターニングポイントでは色々な要因に流されたり、面白エピソードが満載なのが親近感がわきます。
そして独立し、株式会社wipを立ち上げます。

飛騨高山の地での仕事

東急ステイ


「2020年に完成した中でも、大きな仕事が東急ステイ飛騨高山です。せっかく飛騨高山の地に誕生するホテルだから、地場産品や伝統工芸をの関わりを持たせたいと考えました。開業の何年前から、四季を通して1年以上工房に通いつめることから始めました。地域の職人さんたちと少しずつな関係を築き、工房の仕事内容にも、とても詳しくなりました。そんなプロセスを経てできたホテルなんです。」
入念なリサーチを重ね平本さんはホテルのミッションや価値を定義しました。
・ミッションは「飛騨高山の価値を高める事でホテルを運営する」
・飛騨高山の価値は「ものづくりのための原材料を育てる風景こそが飛騨の風景であり、価値である」
明文化されたコンセプトワークをもとに、多くの人を巻き込んだプロジェクトをやりきったそうです。スミゾウも一部お仕事をさせてもらいました。飛騨高山には様々な工房がありますが、これからの展望をもしかすると今まで明確に持てていなかった可能性があると感じます。そういった状況下で、今回飛騨高山の価値を定義してもらった事で、方向性が見えてきたのではないかと感じます。

表面だけの綺麗さではなく、様々なプロセスを経てつくりあげていく平本さんの姿勢を感じます。

ちなみに最近衝撃を受けたのは、ブルキナファソの建築家 ディエベド・フランシス・ケレのアメリカと西アフリカを結ぶパビリオンの「Xylem」。この本を海外から取り寄せ楽しみながら読んでいるそうです。これもアウトプットに至るまでのプロセスを多分楽しんでいるんだと推測します。
●ディエベド・フランシス・ケレの作品
https://www.axismag.jp/posts/2019/07/138130.html


未来


「将来的に、海外の仕事と日本の仕事を半分ずつにしていきたいと思っています。東京-パリ間と、飛騨-パリ間はあまり変わらないのではと思ったり、海外から見た時に東京と飛騨だと、飛騨の方がポテンシャルがあるのではと思ったりもしています。新型コロナの影響で予定通りに計画をすすめられていないですが。近々取組みたいことは、本を書くことと、昨年飛騨の仲間と起業した、僕にとっては3社目となる「地域商社飛騨」のビジネスの形をつくっていくことです。」

飛騨とパリが並ぶという時点で、平本さんの頭の中はかなりグローバルです。東京まで、飛騨から車では約5時間。確かにパリから見たときに、空路とは言え東京までの距離はおよそ1万キロメートル。飛騨-東京間の300キロメートルなんて、それほど変わらない誤差みたいなものかもしれません。
気になる出版したい本の種類はというと、
① デジタルファブリケーションの海外事例集の日本語訳
② コミュニティスペースのつくりかた(最近は多くのホテルの仕事をされているようです)
③ 3Dプリンタ本の進化系
本を書く事で、世の中で強烈にその専門家としてタグづけされる経験を過去されました。平本さんは自身の専門タグをどんどん増やしていくというブランディングを目指しています。

飛騨に訪れるきっかけとなった駿河屋魚一のメンバーと、「地域商社飛騨」という会社を2020年に立上げられました。飛騨の良いものを地域外で販売し、地域にお金を循環させることを目指しているそうです。改めて、今までの経歴や仕事の幅が広くスゴイ人なんだなと感じました。

●地域商社飛騨 http://www.hida.company/

平本さんからスミゾウへ


「飛騨だけでないインプットをもっとしたほうがいい。1次情報に触れて自分の心で感じるのが大切。視野のレイヤーを高くした方がいいよと思います。」
ほんとそうですね。はい、としか言えません。

スミゾウ’S  アイ


「なんていうと全てを網羅するかな」と考えながら話す平本さんからは、言語化し適格に伝えるために言葉を選んでいることが良くわかります。プロセスを大切にするからこそ、言葉一つのアウトプットの仕方にも深い考察があるんだと感じます。
そして、日ごろ一緒に遊んでいた人の経歴をしっかり聞くとで知らなかった、すごさを知りました。身近な人にも、しっかり、あえて話をさせてもらうタイミングが必要だと痛感しています。
物事を見るレイヤーやスケールの考え方、そのつまみをとても上手に上げ下げしている感があり、そのあたりを学びました。どうしても自分は飛騨地域というレイヤーで考える癖がついているようで、自分の思考がどのレイヤーなのか意識していきたいです。


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