棲菫

学生時代にネットで読んだ漫画を、定期的に思い出す。
そのころからずっと、わたしが好きなイラストレーターのひとの作品だ。

別れた恋人のことを描いた漫画。
主人公の元恋人は、好きなもの、好きなこと、身につけているものの話を良くしていた。
もうそのひとはいないのに、何かにつけてそれらに関係するものを見たり触れたりして、その都度、元恋人を思い出す。もう、そのひとはいないのに。ずっと、心に棲み続けているのだ。

作品のジャンルは、「人間の怖さ」と言えばよいのか、そんなホラーとして描かれていた。
しかし、この作品を見てから、わたしも何処か、誰かの心に棲み、忘れないでいてもらえる存在になれたら良いな、と考えていた。
いくらきっかけがあろうと、「そこから存在を思い出し感情を生み出すことができる」存在って、とても強いと思う。

本来なら、別れた恋人なんてすぐに忘れたいことが多い。思い出した瞬間に投げ出そうとすることも、多いだろうなと思う。
それなのに相手の心に染み付くということは、それだけの魅力があるんだと思う。そんな存在にわたしはなりたい。

だから、そんな願いも込めて、わたしは今の名前でインターネットの海に飛び込むことを選びました。

菫の見頃は種類にもよりますが3〜5月頃だそう。
菫の花が咲く頃は、わたしのことも思い出してね。

なんてね。

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