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【日記】私のむねに|こどもの頃の日記から 6

196X年8月XX日 Y曜日 くもりのち雨 にわか雨がひどかった

Mさんとお使いに行った。

ビラまで行って、ミルヒ、センメル10こ、クノールのスープのもと4こなどを買った。

また、他の店でコーンスープのかんづめを買い、帰りに、チョコレートをもらった。

*チョコレートをもらったのは nanny のMさんではなく、お店の人からだと思う。

*ビラは BILLA というオーストリアのスーパーマーケットチェーン。ミルヒは Milch ドイツ語で牛乳。センメルは見出し画像のとおりでウィーンの小型のパン。生地が香り高く食感が良い。ケシの実をトッピングして焼いたタイプもあるが、プレーンなセンメルがいちばん美味しい。



196X年8月XX日 Y曜日 晴れ 風が強い

ベーリンガーパークの公園にみんなで行った。

帰り、デパートのような店のショウ window に、着せ変え人形(バービなど)がかざってあった。そばに家ぐ〔家具〕セットも・・・。

それがほしいと初めて父にうちあけた。

父は「かってあげようね」とやさしく言ってくれた。

それからもうひとつお人形の食器セットもほしいとおねだりした。

今度も父は「いいよ」とやさしく聞き入れてくれた。

家に帰るまで父とそういう話をしていたら、母が
「そんな高い物は買いません!」
とつめたくうちつけるように言った。

それから、私のむねにひとつのなやみが生まれた。

でも私は、あれがどうしてもかってほしい。


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「それから私の胸に一つの悩みが生まれた」とは、また大仰な。

誰の言葉かは忘れたが、父や母の書棚から引っ張り出して読んでいた本にあったこの言葉は、小学4年生のこどもごころにも強いインパクトがあったらしい。