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自傷癖

幼い頃から変わらない
口に出せない不満やストレスの矛先はいつだって自らに向かっている。

爪を噛む、皮膚を毟る、鋭利な物を手に刺す、髪を抜く ...

分かりやすい自傷癖は他人の目につきやすい分コンプレックスとしても大きい。

指先はいつも血が滲んでいて、人の目につくと驚くなり気持ち悪がられるなり強い反応を示されてしまうので見られたくなかった。

床に落とした小銭やカードは拾えないから、落とした物より更に薄くたわむ素材のカードを差し込んで拾う。
缶のプルタブは開けられないから、鍵やスプーンで開ける。

長く奮闘していると周囲に気付かれてしまうので代替案は常に用意していた。何事もなかったかのようにスムーズに処理すれば注目を集めずに済む。

「痛くないの?」「汚いよ」「やめなよ」 

爪や皮膚を剥ぎ、出血してもなお傷を抉る。

痛くない訳がない。

皮膚が完全に身を離れちぎり切れるまで痛みで身体が震え、涙が出る。
不潔な体に作った怪我はよく膿んだ。膿を抜くのも慣れていた。
傷の再生を待たず、不安に駆られる度に比例して傷は増えていく。

痛みを感じている間だけは不安や孤独を感じない

私にとって自傷行為とは、焦点の合わない空の心に”痛い”だけが存在する時間で、生きるために必要な代償だった。

現在やっと爪を噛んだり毟ったりする癖が治り、ネイルを楽しむほどになった。物心つく頃には爪を噛んでいたので20年を超える長い付き合いだった。

そして、いまだ片付かないものもある。
その類の書籍では【セルフネグレクト : 自己放任】というらしい。

私は、幼い頃から自らの清潔を維持することが苦手である。

ここで言う清潔の維持とは具体的に、手を洗う、服を着替える、お風呂に入る、歯を磨く、顔を洗う等基本的な事である。

流石に社会にでて、自己管理もできませんとなると穏やかでない。

仕方がないので日々ひとつひとつ”あたりまえ”の清潔維持を鞭打ってこなしているのだが、休日や人と会う予定がないと平気で2〜3日入浴イベントをスルーしてしまう。

着替えもしないし、きっと手なんか一度も洗わない。
条件さえ揃えば、ひと月くらい何ともないかもしれない。

清潔にすることは本来、自分のために行うもの

私は要するに、他人様に悪いからという理由で渋々清潔にしているだけで根本的には何も変わっていないのだ。

清潔観念の欠落か
いま現状のそんな自分にたいした嫌悪感も抱いていないものだから、こればかりは治らないかもしれないな とぼんやり考えている。

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