後悔
人間ってぇのは自分で自分を傷つけることはできないようになってるんだぜ。
知ってるか?
男が言う。
自分の手で自分の首絞めて自殺した奴はいねぇだろ。
自殺するにも、縄がいるし刃物がいるし練炭がいる。
人間ってぇのは自分で自分の命を断つことを許しちゃいねぇんだ。
男は俺の首元にナイフを突きつけながらこんなことを言う。
お前は死にたがってた。そぉだろ?
俺は顔見りゃわかんだ。
そういう奴を選んで殺るんだ。
その通りだ。
俺は死にたがってた。
しかし、さっきからこの男は妙に的を得たことを言う。
殺人鬼なんてのは、もっと狂ってる奴だと思っていた。
そんなことを考えていたら急に視線がどんどん低くなっていく。
ボサッ。
僕は床と一緒になった。
魚のようにビチビチとはねる元・僕の肢体が見えた。
おぉー。生首は切り落とされても意識がある。なんて聞いたことがあるが本当なんだ。
少し感動した。
いつぶりだろう。感情が動いたのは。
いいもんだなぁ。
あのTシャツ買っておけば良かった。
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