雨上がり。直線的な高層マンション群。
使い古した消しゴムの曲線の似合わない街。
産まれたての子どもの視界を思わせる淡い太陽光の照明。
これからこの街を舞台にCM撮影が始まる。

意識の範囲を超えるにつれて、全てのものは直線的になっていく。片隅で不均衡な曲線を描いているとしてもそれを認識することはできない。
いつの間にか色を無くした息。
目の前には口角の上がった薄い唇の女性。
昨日の3月の残り。


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