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クッキー

「クッキーってどうやって作んの?」
3時ではなく、4時のおやつ中に彼はきいた。
「んー。邪道だけど、一番簡単なのはホットケーキミックスに砂糖と卵とバター入れて混ぜて焼く、かなあ」
「つまり、糖にタンパク質に」
「炭水化物」
「カロリー高そうだなあ」
「おほほ。高いですわよ。箱の裏参照」
彼はクッキーを口にくわえたまま(お行儀が悪い)、クッキーの箱を裏返して表示をまじまじと読み始めた。
「げっ、高え」
「食べたぶんは消費しないとね」
「ハイ」
「早くしないと夜になっちゃうよ。これ食べたら、掃除をさっさと終わらせてしまいましょう!」
「……それが言いたかっただけなんじゃ」
「何か仰いました?」
「イエ、ナンデモ」
「まあ、これだけカロリー高いんだから、ゆっくり味わわないとねえ」
彼女はニコニコしながら、クッキーを頬張った。
「そうだなあ」
彼は少しだけ、口角を上げた。

#短編小説 #小説

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