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「ののこさん」について

春はお別れの  季節です  みんな旅立って  いくんです

じゃあね」という曲が好きだ。
37年も前の1986年に発売された曲だけれど、この季節の普遍的な事象を謳った歌は時代が変わっても色褪せない。

春先になると、おニャン子クラブが歌っていたこの曲の存在を思い出す。
久々にサブスクで聴いてみるとやっぱり良い曲だなと思った。けどスゲー歌が下手だなとも思った。それも今となってはいい感じの味になっている。

4月はそんなお別れの季節ですが新潟のアイドルグループ『RYUTist』のリーダー佐藤乃々子(さとうののこ)さんが、4月2日のライブをもってグループを卒業となった。

年齢も20代後半となり遅かれ早かれアイドルという形態をとっている以上いつかこういう日がやってくるのは覚悟してしているつもりだったが、やはりショックは大きい。
グループ卒業と同時に芸能界からも離れるというのもなんか彼女らしいとも思った。
スポットライトを浴びていた人間が 変に自分自身とファンに未練を残させず、芸能界から颯爽と旅立つカッコよさよ。


RYUTistを知ったのは確か2014年位で、その頃はSoundCloudでリミックスされた曲を色々と探して聴いていた。
丁度Negiccoに興味を持ち始めた頃だったので、Negicco楽曲のマッシュアップ作品もよく聴いていたのだが、その中の組み合わされた気になる曲を探っていくと、RYUTistというグループの曲だったのだ。

そこから色々と辿っていって新潟市の古町で毎週ライブを行なっている事を知り、初めて現地までライブに行ったのは2015年の8月のことらしい。過去のチケットを見つけて思い出す。

そろそろここでライブしてもいいんやで
当時のチケット代1,000円って安いね

新潟古町までは車で4時間以上かかって往復で8時間以上。日曜日にこれを日帰りでやるという愚かな行為を後悔した。
でもそれ以降 何度も新潟までわざわざライブを観に行くくらいだから、苦労してまで行く価値があったということだ。(2回目以降はもちろん泊まりで)

RYUTistのメンバーのイメージといえば 真面目で控えめで礼儀正しいと誰もが言うだろう。それはまさに佐藤乃々子さんのイメージで、他のメンバーが「神様みたいな人」と例える乃々子さんがグループの芯となっていたことで、多くの人から愛されるRYUTistというグループが出来上がっていった。

メンバーが言う「神様」というのは大袈裟だと思われるだろうが、僕からしたら「聖母」や「菩薩」のような印象なのでズレてはいない。
ライブ後やリリースイベントで何度も彼女とお話ししたことはあるが、いつもシャンとしていて真っ直ぐにこちらの目を見て穏やかな笑顔で話す。
でも悪い意味ではなく、いつも彼女とこちらの間には「限りなく透明に近い分厚い壁」があったように思える。それは僕の纏う薄汚れた雰囲気を悟られたくなかったからだろうと後から理解した。
礼儀正しくて穏やかで真面目で優しくて品があって責任感が人一倍強くて子供に好かれて、今ではあまり世の中に存在しない奇跡の人。

4月2日ライブの最後、彼女は
「これからもRYUTistをお願いします。皆さんずっとお元気で 幸せにいてください」
と舞台を去っていった。
最後になっても、自分のことより周りの人達を気遣う乃々子さん。
そんな優しい彼女のこれからの人生も遠くで応援しております。もちろんこれからのRYUTistも。

3月。僕が最後にライブ会場で観た乃々子さんはいつもの乃々子さんで安心した

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