わからない世界に触れて〜ミュージカルカラー
寝たきりの自分を支えたある作品のお話
この夏、1ヶ月ほど寝たきりの日々を過ごした。
今では考えられないほどトイレと布団の往復ばかり。
口にできるのは水のみだった。
なんとかしないといけないと思う気持ち半分、諦め半分の日々。
先の見えない不安な体を抱えながら、
それでも大丈夫だと思えたのは
家族や友人の声かけと共に、私を支えてくれた作品たちとの出会いがあったから。
その中の一つ。「ミュージカルカラー」
オリジナル初ミュージカルのこの作品は、
川崎悦子先生が振付を担当したことで
ご縁が始まった。スタートは1年以上前のこと。
夏の始めからの稽古の様子をスケジュール連絡と共に毎日の様に更新していた。
初めての作品で、初めてお会いする方々も多く、
悦子先生からも様子を確認しておいて欲しいと
言われたことがきっかけで、
稽古動画を見せていただいていた。
実在する方の本当の話だからこそ、
キャストスタッフが皆さん、かなりきめ細やかに
作品を作っていく様子がそこにはあった。
大学生になった主人公・僕がバイク事故をきっかけに植物人間になり、数ヶ月で目覚めた時、
過去の全ての記憶を失った。
ドラマでも映画でも舞台でも<記憶>を失った人の物語はよく見かける。
だけど、このカラーの様に、
実在した本人が証言した原作があり、
記憶がない自分がどの様に
自分らしく生きていく道を見つけていったのか、
それを支えた家族は、周りはどうだったかを克明に示されたものはない。
だからこそ、台本が出来上がり、立ち稽古を始めてからも、皆が何度も何度も試行錯誤した。
彼の心情をきちんと描けているのだろうか?
寄り添っているのだろうか?
こうではないか、それとも、こう動いた方がいいのか。
キャストたちが動きながら、
演出家さんの思いを聞いて
悦子先生がその動きを修正して、
より明確に見ている人に伝わる様に作り上げていく。
作っては壊し、また、作っていく。
だんだん明確になっていく過程を見ていくにつれ、
私はどんどん、どんどん元気になっていった。
私にとって創るは、自分のエネルギーになる。
元気をどんどん注入されていった。
もっともっと元気になって、私も作りたい。
そんな気持ちが心の底からぐんぐん上がってきて
1ヶ月後、カラーの初日までにはなんとか回復した。
劇場で見たミュージカルカラーは、
それはそれは素敵でした。
心の底にある<わからない>という不安の中で主人公がどれだけ苦しみ、その様子を見守る母がどれだけ、苦しかったか、
切ないまでに寄り添ったピアノとパーカッション、
照明や映像の表現。
植村花菜さんの描く音楽の世界。
全て、原作者、坪倉さんが体感した世界を
多くの人に伝えていきたいという思いが集まって出来上がっていました。
生きていることの尊さを母と子の絆を改めて実感できたミュージカルカラー。
10月30日(日)にオンライン配信が行われます。
13:00〜 浦井健治・柚希礼音・成河 (11/5 までアーカイブあり)
16:00〜 成河・濱田めぐみ・浦井健治(11/5 までアーカイブあり)
視聴チケット価格 5000円
[https://horipro-stage.jp/pickup/color20221010/](https://horipro-stage.jp/pickup/color20221010/)
もし、生きることにモヤモヤしている人がいたら、
もし、ちょっとでも興味が湧いたら、
ぜひ、見て欲しいと思い、配信ギリギリですが、
書き綴ることにしました。
ご縁が繋がります様に。
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