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スコウスの!オリジナル超長編連載小説『THE・新聞配達員』

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真田の真田による真田のための直樹。 人生を真剣に生きることが出来ない そんな真田直樹《さなだなおき》の「なにやってんねん!」な物語。
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2021年11月の記事一覧

連載小説 【 THE・新聞配達員 】 その32

32.   ご褒美 「おかえりー!」 優子さんの笑顔がまぶしい。 「ただいまー!」 由紀ちゃんの元気がこぼれる。 「どうだった?契約してもらえた?」 由紀ちゃんがとびきりの笑顔で 優子さんに向かってピースした。 私は急いで集金カバンからその契約書を取り出した。 「ほらっ!見て!2年も契約してもらえたんです!くぅ!」 「うわ、ほんとだ!すごいね!」 麻里ちゃんと千尋ちゃんも帰って来た。 「ただいまー!」 「おかえりー!どうだった?」 「一軒だけ契約し

連載小説 【 THE・新聞配達員 】 その33

33.   さっぱりわや 休日のある日。 早めの銭湯。 べたついた体を早くサッパリさせたかったのだ。 寝汗と自慰行為によるベタついた体をリセットだ。 それに早くビールが飲みたかった。 銭湯から出て足早にコンビニに向かおうとしたら 向こうから歩いてくる二人組に声を掛けられた。 「真田くんじゃん!もうお風呂?」 目が悪い私。 よく見たら志賀先輩とキャップを深く被って 下を向いている優子さんではないか。 「ホントだ。真田くんだ。サッパリしてるじゃん!」 「真田くんサ

連載小説 【 THE・新聞配達員 】 その34

34.   24時間耐久レース 「ねえねえ真田くん!ちょっと!」 元気で明るい声に素直になる私の心。 無心に由紀ちゃんの側に寄った。 「なになに?」 「海に行く計画なんだけど。日取り決まったの。」 「は、はやい!」 「うん!早く行きたいしね! 休刊日の前の日の日曜日しかないし。 後メンバーなんだけど、 女子は4人行くから真田くん入れてこれで5人でしょ。 7人乗りの車が一番大きいからあと2人乗れるの。 あと誰誘う?松本先輩にする?それとも竹内くんと坂井くん?」 「

連載小説 【 THE・新聞配達員 】 その35

35.   24時間耐久レース2 さて御一行は高速道路の上に乗り、 快調に爽やかに、そして確実に 海の方へと移動しているのでありました。 由紀ちゃんが白状した。 「実はさ、この地図ボリューム凄すぎてどう見たらいいか いまいちよく分かんないんだよねー。」 「どれどれ?貸してみ。ほうほう。」 後ろの席から私に向かって言った由紀ちゃんの素直な告白に 助手席の松本先輩が応えた。 分厚い地図が後ろの席から前の席に移動した。 「んーと。どれどれ。 今この辺ちゃうかな?おっ!

連載小説 【 THE・新聞配達員 】 その36

36.   24時間耐久レース3 途中で休憩する事もなく 順調に海の方に向かっている。 海が見えた時は感動した。 湾岸ではなくて海。 潮の香りがする所まで近付いた。 「もうすぐ茅ヶ崎か。江ノ島まで行こうか?」 すっかりナビが板に付いた松本先輩。 湘南の海と言っても広い。 サザンの歌詞に出てくる地名がズラズラと目の前に現れて 私は少し興奮している。 本当に今、自分が湘南に居るんだ。 湘南に住んでいるはずのあの子に ばったり会ったらどうしよう? 犬を飼っていて毎日