オリジナル連載小説 【 THE・新聞配達員 】 その1
1. 進路なき人生
やっと高校を卒業した19歳の秋。
留年したのに、そのまま友達で居てくれる
同い年の友人達。
特に進路は決めていなかった。
親も先生も友人も
飼っている金魚も誰も
次に私が何をするべきかを言う者は
現れなかった。
幸運だ。
信じられている証拠。
もしくは諦められている証拠。
何をしても良いし、何もしなくても良い状態。
そんな責任と責任のちょうど間に
【何もしなくても良い】という隙間が
あったなんて。
居心地が良いので、しばらくそこで考えに考える。