ジャックス(8584)の投資戦略
はじめに
8月5日に日経平均は、歴史的な暴落に見舞われました。以降は特別な材料もなく、落ち着きを取り戻しています。そんな中、高配当株でも有名なジャックスは、8月7日に決算を発表しましたが、減益かつ減配となり、大きく株価を下げました。直近高値を付けた3月以降、30%以上も下落しています。これはチャンスかと思い、直近の決算を確認し、買い向かっていくべきか考えていきます。結論、節目となる3900~4000円付近が押し目になるのではないかと考えています。
ジャックスは、大手クレジット会社
有名な会社なので、ご存じの方も多いかと思いますが、ジャックスは三菱UFJ銀行系列の大手クレジット会社です。
オートローンが主力で、東南アジア(ベトナム、インドネシア、フィリピン、カンボジア)にも進出しています。ただ売上高構成比の86%は、国内となっています。
長期目線だと、一旦の落ち込みはあるものの、2014年からは概ね右肩上がりで推移しています。
自己資本比率は、6.2%と低値ですが金融業界だと一般的な水準です。問題ないかと思います。
第1四半期決算は、利益を下方修正、減配
売上高に関しては前年同期比+1.9%となりましたが、最終利益は-21.5%と大幅な減少となりました。また今期の営業利益の予想を280億円から240億円に下方修正となりました。さらに配当予想も30円減額の180円となりました。この結果は、ベトナム、インドネシアでの市況の低迷、審査基準の厳格化が原因とのことです。
ベトナムとインドネシアは、海外での売り上げの約7割を占めていますので、かなりの痛手となっています。業績回復に向けた対応策についてもいまいちパッとしない回答でした。またもう一つ、ジャックスにとってマイナスとなる要因があります。それは日銀の政策金利です。
日銀は、7月に政策金利を0.25%程度に引き上げました。これはジャックスにとっては、資金の調達コストが増すことからマイナス要因となります。
さらに重要なのは今後、政策金利をどのくらいのペースで上げていくかです。
植田総裁は会見で、「先行きの経済・物価・金融情勢次第だが、現在の実質金利が極めて低い水準にあることを踏まえると、今回の「展望レポート」で示した経済物価の見通しが実現していくとすれば、それに応じて、引き続き、政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになる」と述べています。これをきっかけに株価は大暴落しました。
その後、慌ててか内田副総裁は「金融資本市場が不安定な状況で、利上げをすることはありません」と発言し火消しに走りました。
利上げペースを予測するのは不可能ですが、依然0.25%と低金利であることから、今後利上げする可能性は大いにあるというシナリオでいます。
決算を個人的な観点でまとめると、第一四半期から下方修正するということは海外事業の後半の巻き返しは期待できないこと、政策金利がもし上がればコスト高による更なる打撃を受けること、そして米国が仮に景気後退に陥れば当然巻き込まれる可能性が高いことなどから株を積極的に買い向かうには、やや危ない決算かなと感じました。
各種指標の確認
・PER 8.6倍 過去5年平均は7.3倍です。現時点では平均より、やや高い水準に位置しています。
・PBR 0.6倍 過去5年平均は0.62倍です。現時点では、平均とほぼ同じ水準に位置しています。
・配当利回り 4.49% 過去5年平均は4.46%です。現時点では、同水準に位置しています。
・ROE 7.03% 過去5年平均は8.92%です。現時点では平均より、低い水準に位置しています。
※一般的なROEの合格点は8%以上です。
最近、株価は低迷していましたが、各指標を確認すると現水準の株価でも過去と比較して、特別割安感があるわけではなさそうです。
テクニカル視点での買い場は⁉
株価は短期的にも長期的にも下げています。短期的には、3900~4000円付近が節目となりそうです。現株価は、2年前と同水準まで低下しています。
万が一、さらに下がるようなら、60週移動平均線がサポートラインとなるか確認が必要です。仮に60週移動平均線まで株価が下落するのであれば、約-13%程度の下落となるので、2度目の押し目買いの位置になるかと思います。
まとめ
結論、節目となる3900~4000円付近が押し目になるのではないかと考えています。しかし、各指標では割安感がなく、また日銀の利上げ継続、米国の景気後退の可能性を考えると、更なる下落は十分に考えられます。現時点では、積極的に買い向かう局面ではないかもしれませんが、3900~4000円付近で小額の買いを入れて、仮に60週移動平均線まで下落するようなら2度目の買いを入れていく戦略が良いかもしれません。
長期保有目的であれば、その後下落しても、配当金を貰いながらじっくり株価の回復を待つような方針で良いかと考えています。
※投資は自己責任となります。
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