スキヤキ

工学系の大学院生です

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最近の記事

星の下で

少し立ち止まった方がよかったのかもしれない。 一歩下がって、ゆっくり腰をおろして、 星を見ていたはずだった。 だけれど、止まることができなかった。 何かに追われているというよりは、 ただぼんやりと前に進むしかできなかった。 頭上では星も動いている。 彼らは止まっていると思ったら、 いつの間にか追い越されて消えていった。 今度こそは星をゆっくり見ていようか。 なんて思うこともあるが、 おそらくまた僕は歩き出すんだろう。 少しくらい立ち止まってみたいのだけ

    • ヘイガール、エニタイム

      終電間際の電車で最寄駅まで帰っていた。 トボトボと帰路を辿っていると、向かいの道路にも少女が一人歩いているのに気付いた。 「ヘイガール、調子はどうだい!?」 そんな声をかけるかかけまいか。 目の前の信号が赤になり、向かいの道に渡るチャンスがやってきた。 しかし、近くにはイカしたバーなんてなく、 ちょっと歩いたところにそろそろ閉まる小洒落たフレンチがあるくらいで、、、 そんなことを考えていると、雨が降り出した。 土砂降りで、あっという間にびしょ濡れになった。

      • ドライ・クール・ドライ

        海はどっちですか。 山はあっちでしたっけ。 雨が降っているらしいよ。 あとは、雲が泳いでいたり、猫が寝転んでいたり。 意気揚々と流れているはずだけど、 ここんところは止まってるんだ。 動かしたいんだけど、 どうしたものかしら。 そんな時は、 ドライ・クール・ドライ ドライ・クール・ドライ ほら、 唱えたら動き出したでしょ。 ほんまや。

        • City Sound

          今日は暖かかった。 湿度も高く、僕の髪はいつもより巻きがかかっている。 朝起きて、半袖のTシャツを着て、窓を開けて、 机の上のパソコンに向かう。 心地よいぞ。 風が緩やかに吹き込んでくる。 お昼はどうしても外に出たくなり、 近所まで弁当を買いにいった。 部屋に戻り、いざ食べようとすると、 机の上には小さな虫がいたのではね除けた。 あれが今年初めての来客だったかもしれない。 夜は少し肌寒い。 窓を閉めて、机の上のパソコンに向かう。 換気扇と冷蔵庫の機会

          雪積もる道

          雪の道を歩くとき、 ザクザクって踏みながら 下ばかりを向いて歩いてしまう。 自分の歩く感触を踏みしめながら、 自分の歩いた道を確かめながら、 ザクザクと気持ちいい。 たまに凍って滑るところがあるから、 気をつけないと転んでしまう。 転んでみるのもたまには良いと思うけど。 ザクザク、ザクザク、 すってんころりん、バタン、、 ザクザク、ザクザク、 冬は寒いけど、 雪は僕を暖かく迎えてくれているような気がした。

          雪積もる道

          地下鉄にのってごらん

          僕は改札を通って電車を待っている。 行きたい場所は特にないけど。 多分、隣の人には行きたい場所があって、 その隣の人にも行きたい場所があるけれども、 その隣の人は行きたい場所がないような気がする。 見えない暗いところから出てきて、また見えない暗いところに消えていく。 どこかに連れていってくれるのかい。 そんな期待で心が満たされる。 多分、隣の隣の隣の人も同じだと思う。 電車がやってきた。 僕は迷わず電車に乗った。 ドアが閉まり、電車が発進した。 振り返

          地下鉄にのってごらん

          夏のブランコ

          夏の音。 セミが鳴く、風鈴が揺れる、花火が打ち上がる。 いつの間にか、そんな音にも飽きていた。 家にこもる。暑いから。 本を読んだり、映画をみたり、昼寝もするか。 どうもしっくりこない。夏ってこんな感じやったっけ? 外に出る。そうしないといけないような気がするから。 コンビニで立ち読みして、カフェでコーヒー飲んで、公園のブランコにまたがってみる。 ブランコを漕いでみて、少し思い出したかもしれない。夏ってこんな感じやったっけ。 心がなんだかいっぱいで、けれども

          夏のブランコ