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'24.8 "DAZED KOREA"NO.217 8月号 テヨン インタビュー 和訳


時差

数字の違う時計。このインタビューが届くのを4月から待っている人がいるだろう。テヨン、そしてジョナサン・アンダーソンのロエベが交差した夜。

"これが公開されるのは完全に暑い頃です。" 彼と向かい合って座ったのは、日が暮れると元気が落ちていた、まだ寒い春先の夜だった。テヨンが話し始めた。 「過去の自分と向き合うんです。」そんな返事をするテヨンのそばには準備したお弁当が一つあった。撮影でご飯の時間を逃したテヨンのために用意しておいた、<2018年DAZED>に掲載された写真がステッカーとして貼ってある、そんなお弁当。ステッカーにしきりに目がくらんだ。今はディレクターになった<DAZED>のエディターが6年前にテヨンを直接撮ったその写真を私も長い間好きだったから。

「記憶に残ってます。テン、テヨンで一緒に撮ったじゃないですか。僕がとても好きな画報の中の一つです。少し幼い少年のTシャツを脱いで、少しは成熟した大人の姿を見せるのがコンセプトだったと覚えてるんですが、そういうのってその時だけできることじゃないですか。まだ(幼く)見えるのに、そんなセクシーさを表現すること。唯一、一番初々しかった時期だと思います。」

それを表現したくていつもとは違うディレクションをしていたディレクターの言葉を思い出した。 「そうなんです。今の僕は"こういう角度ならこういう感じで出来上がる"くらいはわかって計算しながら撮影する方なんですが、(当時は)そういうことも知らなかったですから。そんな風に色んな試みを続けてみて、ある時点で"どう映ってるのか分かった"と感じました。」
写真をじっと見て彼が一人でプププと笑っている。
「あの時はもう少し痩せてましたね(笑)初々しかったし、確かにかなり痩せてたみたいです。その頃は痩せてもいい年頃で、今は痩せると少しダメかもしれない年齢。それでも僕はいつも"今この瞬間が一番良い"と思いながら生きています。今もいいんですが...今とは本当に違いますね。」

彼の入隊まで1週間も残っていない時だった。彼が先に用心深く軍隊の話を切り出した。 「もうすぐ軍隊に行かないとですね。軍隊に行く準備をするのに、本当に多くの方が僕を訪ねてくれました。"僕はよく生きてきた"と思いました。"僕がこの仕事をよくやった"ではなく。本当に色んな方たちが気軽に訪ねてくれるので、僕が頑張らなきゃと思いました。がっかりさせるのはやめようと。なので本当に最善を尽くしてみようと思います。」それでも春は春だ。 「今年の春は桜の花がちょっと早く咲いたみたいですね。いつも春が過ぎていくことも知らずに忙しくしていたんですが、先日ロケ地で見たら小さな桜の木がもうつぼみを浮かべてました。もっと幼い頃は季節感というものがありませんでした。一度も四季を練習室の外でまともに感じたことがないんですよ。春だからこれをして、夏だからあれをして、秋にはこれをして、冬にはあれをしなきゃ...こういうのがなかったです。でも最近、徐々に感じてます。世の中に出てきたような感じですね。」心ならずもそんな言葉が出た。「僕は本当にそうです。本当にそうなんです。」テヨンがしきりにそう言った。

いつの間にか夜中の2時が過ぎた時間。その時もそうだし、<DAZED>とテヨンはどうしてこんなに夜にだけ会うのだろうか。 「すごく忙しいです(笑)でも正直もうちょっと経験を積むと夜中の2~3時になっても遅いという気があまりしませんでした。幼い頃は夜12時を過ぎても一人でいるような感じがしたけど、その感じが良くて一人で練習もよくしたりしたんです。でも今はこうやって2時を過ぎてもその時の感じがしません。」
低い声ががらんとした室内に響いた。静まる夜、もっと忙しくなったのではないか。夜中の2時はテヨンにとって依然としてウォーキングタイムなのか。「それよりも少し寂しかったんじゃないですかね。今は寂しさをあまり感じないようです。だから夜が来てもそんなに夜明けのような感じはしません。少し疲れてるだけなのかな?」

もしかしたら消滅した時間。しかし、僕たち誰もが過去の時間を全く知らなかったが、ふと後で知ることになる場合がある。それで、またもしかしたら持続する時間。その時は知らなかったが、今は分かること、その時は漠然としていたが、今は正確に掴めることについてもっと話したかった。夜明けがそんな時間ではないか。限りない夜とたちまち薄れる朝が唯一交差する時間。昨日と今日が、過去と現在が交差する。このインタビューがちょうどそのためにある席のようだった。<DAZED>とテヨンへ、それで聞いてみた。

"こんな質問も受けましたよね。テヨンはプライドが高い方ですか?"
「多分『はい』と言ったと思います。その時はプライドも野望もとても大きかったです。今は本当に単純な欲だけが残っています。」
これは覚えているだろうか。 "負けてあげられる人になりたいとも言っていました。正直、それが勝つことだと。"
「お、そうです。」テヨンはよく知っているように喜んだ。 「今、とてもうまくいっています。本当によく負けるんです。その時、僕がすごく賢かったと思います。何を直さなければいけないのか、とてもよく分かってましたから。今、僕はその当時望んでいた自分になっています。良い大人になりたかったので、それで僕が考える良い大人の基準を決めておいたんですけど、今見たらそれが満たされたみたいです。」彼は満面の笑みで付け加えた。 「器が大きい人になりたかったんです。一緒に働く人、僕の周りの人たちを心から尊重することができます。僕も彼らに尊重されるために、自分の仕事をうまくやりたかったです。この仕事は人と人がする仕事ですから。あ、今日の<DAZED>の撮影はなんというか...家族の集まりみたいな感じでした。楽しかったです。」

そういえば撮影に入る直前までスタッフに囲まれていた彼だ。普通、距離が少し必要だとか、一人でいる時間を守ろうとするのとは違った。結局、人と人が会ってすることだということを知っている人だけが知っていることがある。「そうやって生きなきゃですよね。今日の現場はすごくフレンドリーじゃなかったですか?そういう雰囲気で働くのが好きです。皆さん、僕によく合わせてくださったんだと思いますが。人間らしいことが重要です。目に見えない何かよりも。」

この日、他に感じたのはそれほど騒がしくない撮影現場の雰囲気だった。今更のような気がした。皆が息を殺してカメラの前に立ったテヨンをずっと見守る間、空気は沈んだり全く硬直しなかった。お互いを信じているんだな、そう温かく感じられた。
「僕もテヨンがどうするのかただただ見た気がします。だからもっと興味深かったんです。」逆にテヨンがそう言った。

「本当ですか?そうやってお互い面白くなきゃですね。仕事というのは。」
ところで約10年前、SMルーキーズとして初めて公開されたメンバーテヨンは【夢】を尋ねる項目にこう書いた。 『自分のアルバムを自分だけの力で作ってみたい。』10年、20年後になるかもしれないがいつかは必ずやり遂げるだろう。そして、ちょうど1年と1ヶ月前、2023年6月にテヨンは全曲作詞、作曲参加で埋め尽くしたソロアルバム<SHALALA>を出して一人で立ち上がった。機会を待つ人ではなく、むしろ作れる人だと、遠くから知ったかぶりをしていた。

「何も考えずに直進する方です。僕は仕事においては悩まない方なんです。決めたらすぐ行動に移ります。理解できないかもしれませんが、普通「これしなきゃ〜」と決心して動くとしたら、僕は「これしなきゃ〜」と思うと体が先に動いています。 「これやって…」という時点からすでに始まってるんです。誰かにやれと言われて遅れてやるのではなく。」

間もない2月、2番目に出したミニアルバム<TAP>にはひたすら彼が書いた歌詞だけで満たされた曲が位置した。パフォーマンスに続き、作曲と作詞まで。一体どの時間に、どの瞬間から? 「子どもの頃、バレエとロッキングを全部習いました。ダンスに対する欲が大きかったので。でもある瞬間、ちょっと体に無理があって、"ここまでしてもいいな"という限界にちょっとぶつかりました。 "この程度のダンスの実力ならこれから僕の夢に近づくためには十分だ"という判断を初めて下しました。何かにおける判断を、僕に対する判断を、初めて下した時だったと思います。」必ず最後まで行った人の言葉だった。

そして、再び始める人の言葉がここにある。 「新しいチャプターでした。何よりも真正性のある人になりたかったです。ダンスだけでなく、他の多様に表現できるものを探して創作をするのが僕の義務だと思って。ダンスは、努力すれば上達するものの、作曲、作詞はダンスとはまた違って、より多様なものを要求してるようでした。歌詞を書いて"これはちょっと見栄が入ってる"と思ったらすぐに抜いて。僕自らルーザーだったら、 "僕がこれくらいルーザーだ"って書きます。」自嘲する気配もなく、涼しい声でそう言った。

10年の起点は何だろうか。10年は地道さなのか、全力なのか、老練さなのか。それとも本当に純真さなのだろうか。テヨンも、ロエベとクリエイティブディレクターのジョナサン•アンダーソンもつられてちょうど10年に近かった。 「何よりも自分の仕事に没頭する人は輝くと思います。言えないオーラがあります。ロエベのジョナサン•アンダーソンもそんな光が出る人です。単純に挨拶するだけでも、そのエネルギーが感じられます。」彼が1年に行うコレクションは6回だ。「信じられないですよね。でも本当に仕事だけのために生きていくのが本当にかっこいいじゃないですか。僕も昨年はアルバムだけで6枚を準備したので、似ているかも?」テヨンが笑う。10年は白く清らかだ。

まだ来ていない夏はどうだろうか。 「あ、僕変わったことがあるんです。もともと夏が一番好きでしたが、冬がもっと好きになりました。」 今日ちょうどテヨンが着たのは、ロエベの2024年秋/冬服。
「でもこれはちょっとロエベのおかげでもあります。 本当です。元々、僕は季節感のある服を着る方ではなかったんです。ただ夏に汗を流しても暑く着て、冬にはかえって半袖を着ていました、逆に。でもロエベの服を着てからは冬に冬服を着るのが暖かくていいんですよ。いつも記憶には冬が寒いだけでしたが、ある瞬間冬が暖かくて好きになりました。」テヨンはフリースが特に好きだと言った。

「この靴とパンツがくっつている服が本当に面白かったです。意外と楽だと思いながら着ました。文化圏が違うから面白くなるんですよね。 "こうやって着たら韓国では友達の家に入る時に靴を脱ぐこともできないし、どうしよう?"こんな想像をしながら。」ロエベが創造する想像をテヨンは本当に楽しんでいるようだった。創作が義務だと言った彼の言葉がまたよぎった。

「僕は異なるものが好きです。海外公演に行くと、何でも僕と僕が持っているものとは違うじゃないですか。異文化、それが僕は大好きです。 "韓国に帰ったら、ちょっと違う音楽が作れる"という自信がついたりもします。」テヨンがこういう歌詞の歌を歌った。『まだやれてないことがとても多い』と。「歌詞のままです。もっと多くの国に行って、もっと多くの舞台に立ちたいです。もっと暴いてみたいです、あちこち。」 彼の世界は普通よりも広い。

"10年ほど経って、また会うのはどうでしょうか?" まるで前回のインタビューを書き続けるようにやりとりし、その時の最後の質問が浮び上がった。この質問に対する答えも覚えているだろうか。
「うーん..."いいんじゃないでしょうか"と答えたんではないですか?」前回のテヨンの答えを返した。「すごく良いですね。僕は機会をありがたく思う人なんです。」

今のテヨンが続けて話した。 「あぁ....(短い沈黙)最後の言葉がすごく響きますね。何か心配事や悩み事が多い人がしそうな、そんな言葉です。これは本当に僕という人の考えなんですけど、人が"感謝する"という言葉を簡単に言うのは不可能だと思ってきたんですよ。だから僕はずっと努力してきました。 "感謝を知らなければならない"と。」

分かるような気もしたが、正直よく分からなくて聞いてみた。 『感謝』のような言葉は、簡単にしようとすれば果てしなく簡単な言葉ではないか。 「お母さんの教えがいつもそうでした。いつも借金をして生きていかず、何とか努力して全てを返そうとしたんですよ。そして、まだ僕に感謝するように言うんです。僕があれこれ話を打ち明けても、それでも感謝しろと。そんなことを言われる時は、すごく嫌でしたね。なんで感謝しないといけないのか分からなかったし。でもある瞬間から『感謝する』という言葉が僕自身にも良いことだと分かりました。それを教えようとしたんじゃないかと今は思います。他人に感謝し、その次は自分自身にも感謝することができてこそ、本当に『感謝』という言葉が完成するようです。それを知るのは簡単ではありませんでした。」

感謝の気持ち。テヨンは【チャンス】みたいな言葉をもっと近くに置くと思っていた。だからテヨンを本当にNCTテヨン、NCT Uテヨン、NCT 127テヨンだと思っていたということだ。「感謝の気持ちをつねるとは思いませんでしたが。」目の前のイ・テヨンがそう話した。 「今はチャンスという言葉が少し違うように感じます。もう機会よりも僕が集中することが重要です。だから僕は今が楽ですね。あまりにも多くの機会が絡み合って絡み合ってここまで来ましたが、今の僕は機会を追わなくても大丈夫です...成長したんです。」

やがて時計の針が午前3時を示す。時間は前に流れる。ページはめくる。あ、言い忘れたことがある。 「糖分が不足するとチョコレートをいつも食べていたんです。今はやめました。体にあまり良くなかったみたいです。今はチョコレートを食べないので、スケジュールが終わる頃には疲労度が最高です。」 疲れた様子など一つもなかった、そんなはっきりとした言葉だけが残る。この言葉の総合でも、結局完全に説明できないテヨンの姿だけが残っている。ただ3時半?4時?ほとんど目が覚めたままインタビューを終えた私に「眠いですよね?」と聞いていたテヨンに。この言葉をどこに付ければいいのか分からなくて最後まで書く。一時期休むことなく変化した、成長した、進化した...。こんな言葉はどうですか? 「でも一方では、僕のコアはそのままだと思います。僕の本心です。」その話をする頃、自分も知らないうちに姿勢を正しく直して座ったテヨンが、格別に大きく見えた。

白い海軍の制服を着て、いたるところで捉えられるテヨンの夏の顔。今ここの肖像。ところが、夏には白いのか、一度は通り過ぎるすべすべした坊主頭だけでテヨンはすでに別人のようだった。ピンクの髪をした、もう過ぎてしまった春に、カメラの前でロエベを着て全身を使わないところがなかったテヨンには、もう会えないだろう。ただし<DAZED>8月号にいくつかの姿は無事に残されている。それがとても幸いに思われる。
帰ってこない春の夜に聞いた言葉を夏の夜明けの間ずっと文字に移した。どうりで誰かが昔に書いた手紙が帰ってきたような気がよくした。少し遅れた返事ではないだろうか。テヨンからの。

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テヨンちゃんどんだけお仕事してたの🥲🥲🥲ありがとうだよ🥲🥲🥲エーーン
この撮影も確か入隊の5日前くらいだったって見たし、前日まで仕事してたって言ってたし、本当にギリギリまでずっと色んなものを残そうとしてくれてたんだなと思うと涙が出る。。。


私はインタビューを読むのが大好きなんだけど、今回のも読み応えがあってすごく良かった。「そうそう、テヨンちゃんってそういう人だよね。そういうとこあるよね。」って頷く部分もあれば「そうだったのかぁ...」と思うも部分もあって、昨日よりまた少しテヨンちゃんを理解することができた。

"機会を待つ人ではなく、むしろ作れる人だと、遠くから知ったかぶりをしていた。"っていうDAZEDの言葉には私も大きく頷いたよね。テヨンちゃんは自分でチャンスを掴みに行く人だから、今までも多様なことを可能にしてきたし、これからもできるだろうと感じさせてくれる。何かを創ることも大好きだから、色んな場所で色んなモノをこれからも見せてくれるんだろうなって。除隊後も楽しみ。


テヨンちゃんが入隊して先日100日を迎えたけど、動画もよく上がってくるし、本人もマメにSNSを更新してくれるので、安心というかとてもとてもありがたい。本当に愛が溢れる人。ありがとう!あと毎日は食べれてないけど、人生で1〜2回しか食べたことなかった納豆も週3くらいでは食べてるし、夢に向かって私も日々頑張ってるよ!と届かない声をここで伝える(笑)

のんびりイリチルを追ったり、他アイドルのライブにも行ったり、家族や友達との時間を大切にしたり、自分なりに前向きに過ごしてるからきっとあっという間に2025年の12月になってるはず...なってるといいな。



蒸し暑い夏の夜、今日も変わらずキミを想う。


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