刀剣乱舞 ~花影ゆれる砥水がとても好きという話~

今回のお話、私はとても好きだったのですが
特に個人的に好きなシーンがあって、

まだ小さな豊臣の世継ぎをこのまま生かしてはおけないという流れから、毒殺を計画したところで山姥切長義がポツリとこぼすように言った「それは苦しいのか?」という言葉そして小竜景光の「いいや、きっと眠るようにさ」という穏やかな口調で交わされた会話です。

歴史を守らなくてはならない。けれど、そのためにむやみに苦しめたいわけじゃない。

可哀想だけど、そうしなければならないからどうかせめて眠るように安らかに逝けますように。

そんな神であり、モノである二振からの人間への慈悲を感じる会話にとてもじんわりと胸に染み込んで来ました。

あと、物語終盤の磨り上げに対する一期一振りの「そう思ってもらえて誇りに思う」という言葉がとてもモノらしくて、あぁ、彼らは刀剣男士なんだなと強く感じたんです。

彼ら刀剣男士は神でありモノであり、決して人の感性で測れる存在ではないと改めて思うというか。。。

本阿弥さんも言っていましたが、私たち人間は心があり心は嘘をつく。こうであって欲しい、こうなんだろう、こうに違いない。

物事に対して考えるとき、心が付いてきて、曖昧な部分や見えていない部分を都合の良いように考えてしまう。

豊臣公が「一期一振りを磨り上げろ」そう言って刀をガシャんとほかった時、私は何て酷いことを言うのだろう、乱暴に扱って酷い!そう思いましたが、その思いは結局は私がそう思っただけなんですよね。

見たいものだけを見ようとした自分に気付かされるというか。。。舞台の最後、本阿弥さんの独白まで見終わった時、そんな人間だけどそれでも真実を見つめようとする、その誠実な姿勢こそが美しくて尊いものなのではないかと思わせてくれました。

私たち人間に出来ることは、本阿弥さんが今日も砥水を揺らすように、ただあるままを受け止め日々を生きていく事くらいなのかも知れない。
そもそも私は豊臣公のように凄い人間ではないし、本阿弥さんのように何か秀でた部分があるわけでもない。。。

でも、誠実に生きたその先に例えば本阿弥さんが多くの刀を見出し、刀の歴史に大きな影響を与えたように、いつかの誰かへ何かを繋いでいくことになるかもしれない。

そんな事を考えると、明日もまぁ、頑張ろうかな。と思えるような暖かい気持ちで見終わることが出来ました。

私にとって花影は真夏に飲む三ツ矢サイダーみたいな爽やかな心地というか、そんな観劇体験でした。

ありがとう花影!早くブルーレイ見せてくれ。


この記事が参加している募集

#舞台感想

5,928件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?