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四月の歌

在宅の作業に厭きて窓見れば萌黄の色は陰雨にくもる
幼きの青き匂ひの何処にか鉢の紫陽花匂はずして
オンライン会議は強ひる我が顔を九十分間目(ま)守(も)りゐること
大正に嫁ぎし祖母の手鏡の幻灯のごと吾を映せり
ダム周(めぐ)る新緑の道に風光り四つの窓開け四駆の走る
ビル間に虹落つる午後渋谷ゆくマスクの群れの歩みの軽し
夕映えの桜散り敷く公園に重き鞄と我ひとりをり

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