見出し画像

七月のうた 2020

目の慣れて見すうる闇におぼめきてあぢさゐ一輪花の香深し

庭隅の闇睨みてまぶた閉づ心に移ろふ眼(まなこ)の漆黒

梅雨晴れの一日(ひとひ)の暮れに遠雷の音に交じりて初蟬の声

枕辺の灯りに集ふ羽根虫の生を請はむや旅寝は悲し

グランドに楕円のボールは転転と群がるジャージの蜂の如くに

廃村を訪ねむ吾に道を断つ倒木いくつ蟬の噪がし

悲しきは五十年前吾張りし障子の紙を一人裂く時


最後までお読みいただきありがとうございます。よろしければ「スキ」をお願いします。励みになります。ありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?