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三月の歌

豪快に笑ふなかにも哀しみの眼差し添ふるK.Iさん
彼の日より十年のけふ日輪の虹の環持ちて東京包む
梅の香に歩みを留む庭愛す夫婦思ひて再び歩む
「ありがとう」母の口癖思ひ出づ苦労の果てにと今にし偲ぶ
一杯の煎茶を啜り一日(いちじつ)のこころを決めむ休日の朝
海鳴りを子守歌とも吾の聞く北陸育ちは哀しき性なり
新しき出逢ひ失ふ一年(ひととせ)か名刺の減りに思ふ三月

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