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お金で幸せになるための「目論見書」

もく‐ろ・む【目論む】
〔他五〕(「目論」を活用させた語か)
①たくらむ。企てる。計画する。浮世草子、日本新永代蔵「如何なる商人の手だてを―・むといへども」。「一攫千金を―・む」
②囲碁で、目算する。〈日葡辞書〉

もく‐ろみ【目論見】
(「目論む」の連用形から)もくろむこと。計画。設計。心算。好色二代男「我宿の普請の―」。「―が破れる」

ーーーーーー以上、オンライン広辞苑より

私が証券会社出身だとわかると
「お金の殖やし方を教えて!」とリクエストしてくる人が少なくない。

もちろん、平均的な日本人としては詳しいほうかもしれないが、実は私が所属していたのは法人部といって、株を投資家に勧めるのではなく、株式を発行する部門だった。言ってみれば、(株の)製造部門ってこと。

だから今でも
利殖としての株式 というよりも
事業資金としての株式 が気になってしまう。
たとえば、未上場のベンチャーがIPOを果たし、得たお金を使ってどんな未来を描こうとしているのか?! みたいな。

それを記した書類が「目論見書」だ。
株式や投資信託を購入するときにも提供されるはずだが、ほとんど読まずに買っている人がほとんどだろう。

冒頭で引用したとおり
「目論見」は、たくらみ、計画、設計、心算のこと。それを記した書類を読んで、計画に乗った! というのが、本来の株式投資の意味だと、私は考えている。

では、
私たちひとり一人の資産運用にも、「目論見書」があるとしたら、どんな中身になるだろう?

ーーーーーーーーー

私は?と言えば・・・
20代~30代の頃は、ガツガツと稼ぎ、殖やすことばかり考えていた。
老後に備えつつ、使うといえば『Hanako』に載っているような店での食事や、コスメやアクセサリーなど、自分へのご褒美ばかり。

将来性にも社会性にも乏しいものだったけど、当時はそれが楽しかったし、「若い子らしい使い方だよね~」と、40代くらいまでは笑って思い出すことができた。
その考えをひっくり返したのが、晩年の両親の生き様だった。

父と母はともに昭和一桁生まれ。
高度成長期の波にのり、学習塾を自営して儲け、私たち子ども4人を育てあげた。もともと貧乏かつ学歴がない分だけハングリー精神はすさまじく、バカにした誰かを見返してやりたいという思いもあったのだろう。
お金は「あればあるほど良い」「いくらあっても困らない」と、言葉でも態度でも示していた。
そんな両輪を見て育ち、私も同じように思い込んでいた。

でも、ホントは違った。

やがて日本は「少子化社会」に突入し、塾の生徒数はジリジリと減っていく。経営がうまくいかなくなって貯金を取り崩すようになると、母から出るのは愚痴ばかり。私たちきょうだいは、それぞれに仕事を持って独立していたので、「借金する前にやめれば?」
と勧めたけれど、仕事一筋にお金だけ追いかけていた二人は、ズルズルと続けてストレスばかりを募らせた。そして引退後、これといった趣味もなく、友達も少なく、人生をあまり楽しむことなく晩年を過ごすことに。

たまに買い物に出かけても、とくに欲しいものがみつからない様子で、付き合っていても退屈なほどだった。やがて認知症をわずらった母は、ガンであっけなく父が逝ってしまったしまったあと、さらに孤独を深め、壁に向かってブツブツつぶやくだけの余生を送って亡くなった。

両親を見送ったいま、
私は、自分のお金に対する価値観をリセットし
目論見書を訂正しようと、もがいている。

 気持ちを満たしてくれる消費って?
 大切な人に愛情や感謝を伝えるお金の使い方はある?
 将来の自分を支えてくれる自己投資とは?
 投資/出資や寄付をしなが、自分も豊かになれないか?
 遠回りでも社会を変えるためにお金を生かすには?

2000万円貯めなくては、殖やさなくては、と必死になるよりも
良い使い方を考えたほうが、見えない未来を信じる気持ちが沸いてくる。

かの渋沢栄一氏は
「真に理財に長じる人は、よく集むると同時によく散ずるようでなくてはならぬ」と言ったそうだが、株式発行はまさにそれだったなと、今さら思う。

さきほど、上場のことを「IPO」と書いてしまったが、本当は
「Go Public」という言い方のほうが、何十倍も好きだ。
創業者たちが個人資産をがっぽり増やす
イメージではなく
彼らの目論見が社会全体のお金の総量を増やす
ことにつながりそうなイメージが浮かぶから。

おひとりさまフリーランサーの私にできることは小さいけれど
”未来の大丈夫”をデザインするために
大切なお金を生かしていきたいなぁと思っている。


#お金について考えていること
#2022年のわたしとお金

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