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伝説の億万長者の告白から

今日のお題📚
「私の財産告白」本多静六(ほんだ・せいろく)

2022年1月17日現在、kindle unlimited で読み放題。
でも…こういうのは、Audibleで繰り返し聴くのがいいのかも?

https://amzn.to/3tIk1Rl

私がこの本を手にしたキッカケは、ひふみ投信の藤野英人さんが、著書の中で紹介しておられたからです。
「私の財産告白」が書かれたのが1950(昭和25)年、本多静六なる人物は1866(慶應2)年生まれ……にも関わらず、中身はまったく古臭くない! ってことに驚かされました。

貯め方、殖やし方、財産の処分法、世渡り術 etc.
当然、買えるモノはどんどん新しくなっているはずですが、お金を扱うときに大事な姿勢とか心構えというのは、いつだって同じだよ~ ということなのかもしれません。
たとえば

貯金生活をつづけていく上に、一番のさわりになるものは虚栄心である。

メッキをほどこすように見栄を張らず、むしろ、一歩退くつもりでいなさいと静六さんは説いていました。

また、虚栄心と同じく、他人目線を気にするという意味では
「金儲けはケシカラン」という声、嫉妬、周囲の誤解などは、なかなか難しいものだとも書いていました。
山田五郎さんも動画の中で、同じようなことを指摘されてましたっけ。

日本の「貯めること」だけが美徳で、「使う」ことはすべてが散財! にみなすような偏ったムードが、お金の使い方のバリエーションを減らし、それについて学ぶチャンスを減らしてしまっている気がします。

このテーマに興味を持ってから、子ども向けの金銭教育本などもあたってみたのですが、けっこう踏み込んだなと感じるものでも、投資や仮想通貨に触れるくらいで、積極的に「使う」ことを語っているものはみつかっていません。「寄付」や「フェアトレード」や「エシカル消費」なら、SDGsの文脈にそって、少し出てきているようです。

私としては、自身が起業家となって資本に投資するとか、大きな夢を叶えるためにポ~ンと使うとか、そんなエピソードがあってもいいのに……と思うのですが、ダメでしょうか? お子さんがいらっしゃる方のご意見をうかがいたいところです。

ちなみに静六さんは、寄付は小さい額を毎回出しますと約束するよりも、一時的に出すほうが双方に利便がいいと言っていました。貯めるほうは、毎月コツコツがいいのですが、出ていくほうに関しては、余裕のないときでも出さなければならなくなると、気持ちよく出せなくなるよと警告しています。

そして、起業については
・資産不相応な融資
・無理算段の投資
・不慣れな事業
はやめておいたほうがよく、いたずらに成功を焦っても、堅実を欠くと失敗するし、一時的な小成功を収めても、最後はつまずきを招く と辛口です。

二億円の蓄財をしたいとたずねてきた青年へのアドバイスのひとつに、「資金で資金を引き出す」というのがありましたが、これが私が苦手とするお金の使い方です。私の父は事業をしていましたが、とにかく借金を嫌う人でした。堅実といえば堅実なんでしょうが

価値あるものに再投資する

という手法を身に付けていれば、ある程度まで大きくした学習塾を、もっと世の中の役に立つ組織にまで成長させられたのではないかなぁと残念に思いました。お父さん、惜しい! みたいな。
(父の教育方針は、成績が良いだけではなく、靴をそろえるとかゴミを拾うとか、ちゃんと挨拶をするとか、そういう道徳的なことについてもレベルの高い子を育てるものでした。娘ながら「合格者数を競うだけの大手進学塾とは違うんだ」と誇りに感じていたんです)。

一方、利殖(投資)のコツとしては

静かに景気の循環を洞察して、好景気時代には勤倹貯蓄を、不景気時代には思い切った投資を、時期を逸せず巧みに繰り返すよう

すすめています。これには全面的に賛成🙌
そして、何ら抵抗を感じないのは、証券会社で6年間働いた成果(?)でしょう。両親は「株なんてギャンブル(投機)だ」と考えるタイプの人たちでしたが、私の中では投資と投機はまったく別モノです。

静六さんの言葉の中で、お金と幸せとの関係をうまく表現しておられるなぁと思ったのは

二杯の天丼はうまく食えぬ

という言いまわしです。収入が2倍になったからといって、2倍のものを手に入れて幸せも2倍に、とはいきません、よね。

そして、財産というのは「社会の寄託」なので、儲けた人は税金を納めるだけでなく、「社会的財産税」を覚悟しなさい と言っています。
それをキチンとやった成功者として登場するのが……

じゃーん♪ 渋沢栄一✨です。
学生のために育英資金を集めていたときに、理屈は理屈、人情は人情で対応してくれたエピソードなどが披露されていました。まさに、「論語と算盤」というか、義と利のバランスのいい方だったんですね。

お金の使い方について、もっともインパクトのあった教訓は

金はいつでも、イキのいいところでどんどん使っておくことだ

という一節です。これは、とある島の開発のため視察旅行に出かけたときに、調査費の金額を聞いて驚いた静六さんに、元満業社長の鮎川義介(あゆかわ・よしすけ)さんという方が返したセリフだそうです。

振り返ると、「イキのいいところ」を、何度もスルーしてきた気がします。じりじりと残り時間が減っていくいま、人生後半の私に「イキのいいところ」なんて巡ってくるのだろうか? と不安になることも多いです。
が、本当に「100年人生」だとしたら後半に入ったばかりなわけですし、自分のためだけなく、周りの人を含めた公共や社会全体のスケールで捉えれば、効果的な使いどころは、まだまだ残っているのかもしれません。


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