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好きなものを好きじゃなくなるのって悲しいよね
私には大好きなバンドがいた。
中学生のときに出会ってから25歳くらいまで、
10年以上ずっと大好きだった。
だけど、ある時からだんだん気持ちが離れてしまって、好きとは言えなくなってしまった。
理由は、
そのバンドが面白いと思うことを面白いと思えなくなったから。
そのバンドがかっこいいと思うことをかっこいいと思えなくなったから。
それだけ。誰が悪い訳じゃない。
好きなもの、人を、
好きじゃなくなるのってとても寂しいけど、
仕方のないことだ。
どれだけ時間やお金をかけたとしても、
どれだけ好きな気持ちがあったとしても、
契約を結んでる訳でもないし、
義務も見返りもない。
余計なことは言わずに、感情的にならずに、
綺麗に離れるだけ。あっけないもんだ。
変わった相手を責めてはいけないし、
変わった自分も責めてはいけない。
大げさではなく、このバンドのおかげでなんとか生きれたと思ってる。
10代、ずっと思考が灰色で、1人ぼっちで部屋で泣くしかできなかった自分の拠り所だった。
人気のあるバンドだったから、大勢のファンの前でかっこいいライブをするスターだったけど、
フロントマンの歌詞や言葉は、1人で深く底に沈んでしまった自分とチャンネルが合うみたいに、自分と繋がる瞬間があって、
それが支えだった。
そんな瞬間を紡いで、1日1日をなんとかぶっ生き返して、どうにか腐らず生き伸ばした。
そんな感じ。
このバンドを好きになって知れた大事なこと、
作り手に対してきちんと対価を支払う重要性、普通なら通らないことを実力をもってやり切るかっこよさ、生き辛さと向き合いながら生きること。
他にもたくさん。
どれも自分の中に根付いている。
大学生になって、楽器なんてやったことなかったけど、どうしてもバンドをやってみたくて、勇気を出して入った軽音サークルで、
親友になる人たちに出会えた。
青春みたいな経験もいっぱいできた。
このバンドの繋がりで、
日本全国いろんな人と知り合えた。
バンドからは離れてしまったけど、今後もずっとSNS上でおしゃべりしたり、たまには会ったりできたらいいな。
繋がりがなくなったとしても、みんなに元気でいてほしい。
このバンドのおかげで出会えたカルチャー、作品、人、瞬間、感情がたくさんあるし、それらは間違いなく自分の核の一部になっている。
当時聴いていた楽曲は、どれも今でも大好き。
このバンドのことを好きになってよかった。
心から感謝している。
離れてしまったけど、今彼らがやっていることを否定するつもりは一切ない。
自分たちがしたいことをしてほしい。
彼らが健康に、健全に活動し続けられたら何よりだと思う。
それだけを願ってる。
自分の思想やマインド、好みなんて刻一刻と変化するから、またこのバンドのことを好きになる日も来るかもしれない。
そんなの分からない。
どんなものを好きになったとしても、
それを好きでいられる期間を大事にしたい。
膨大な情報が溢れかえる中で、何か刺さった、チューニングが合ったのって、すごく尊い。
いちコンテンツ、いち消費者という関係性は大前提だけど、作り手はちゃんと人間であることを忘れないようにしたい。
1人の人間として尊重して、応援したい。
嬉しい知らせにブチ上がったり、何かの結果に悔しがったり、一緒に一喜一憂したい。
思ってもないことを言わないといけないとき、言いたいことを我慢しないといけないこときもいっぱいある中で、自分の好きという気持ちに対しては、いつも正直でありたい。
好きに対する自分の嗅覚だけは、
絶対に信じたい。
コンテンツでも人でも、会うべきタイミングで出会って、好きになるんだと思う。
ある種そういう必然を信じている。
ずっと何かを好きでいたい。
好きなもの、人がある自分でありたい。
これから自分は
どんなものを好きになるんだろう。楽しみ。
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