SLOW CHANGE日記-エピソードの表し方
ここ1ヶ月、ノートに日記を書いている。「毎日何かしら書く」ということだけを目標にして、1行でも2行でもいいし、とにかく毎日書く。映画「ケイコ、目を澄ませて」を観て、耳の聞こえないボクサーであるケイコが、日々のトレーニング内容とあわせて、毎日2、3行の記録をつけていたことに影響されている。日々の習慣や、当たり前のようにやっていることほど、無意識のうちに過ぎてしまうから記録に残しておいたほうがいいのだなと思う。ケイコの記録の中には、「川が臭かった」などとも書かれているのだが、その1行があるだけでその日の情景や気持ちは思い出せるのだと思う。そういうものだ。
2月12日に、盛岡の県公会堂でCoccoのライブを観た。私が中学生くらいのときに一番心酔して聞いていたCoccoを生まれて初めて生で聴くことができた。岩手にくるミュージシャンというのは、東北にゆかりがある人か、全国ツアーをするようなビッグネーム。結果的に、東京ではチケットが取れないようなビッグネームが岩手の会場だとチケットが取りやすかったりするのがありがたい。なおかつ今回岩手にくるのは実に16年ぶりとのことで、冒頭は東京ではセットリストに入っていなかった一番有名な「強く儚い者たち」で。何度も何度も聴いたイントロのひずんだギターを聴いただけでグッとくるものがあった。
世の中のCoccoのイメージは、感情の起伏が激しく、脆くて繊細、TVの画面から裸足のまま駆け出して逃げ去った有名なシーンなどの印象が強い人も多いかもしれない。近年のCoccoは、デビュー後数年よりも随分曲調が明るくなったように思う。ハッピーな雰囲気をまとう曲も多く、目の前で歌う彼女も幸せそうだった。歳を経て「丸くなった」ような印象もあるけれど、それでも合間にはさまれる激しい感情が込められた曲の振り幅を観ると、「彼女は喜怒哀楽すべてを音楽にしているんだな」ということに今更気づいた。彼女自身がもう音楽の結晶のようなひとだから、ただ時代によってどの感情が強く出ているか、の差なのだ。
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SLOW CHANGE -移住とゆるやかに変化していく生活
30代後半でフリーランスとして働いていた私が、東京都・中野区から、縁もゆかりもない岩手県・紫波町へ引っ越してきた。 「一から土を作る」とい…
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