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時をかける父と、母と

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若年性認知症の父と、がんで逝った母について、30代の私が記録したエッセイ。幻冬舎×テレビ東京×noteのコミックエッセイ大賞にて準グランプリを受賞。
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#お葬式

父の『進化』がめまぐるしい -『時をかける父と、母と』 Vol.13

『時をかける父と、母と』ー 若年性認知症の父親と、がんになった母が逝くまでのエッセイを連載しています。 Vol.13 父の『進化』がめまぐるしい自分の書いてきた記録をたまに遡ると、父の『進化』があまりにめまぐるしいことに気がつく。 1年前、2年前、3年前、ひいては5年前、10年前は、いまと色々なことが違いすぎて驚く。いまテレビの前で動かない父の姿ばかり見ていると、過去の父のことを忘れてしまいそうになる。 病気になりたくてなったわけじゃないこと。父も、家族みんなも、こん

はじめてのお葬式準備-『時をかける父と、母と』Vol.18

『時をかける父と、母と』ー 若年性認知症の父親と、がんになった母が逝くまでのエッセイを連載しています。 Vol.18 はじめてのお葬式準備さて、人が亡くなると、一息ついている間もない。 母の体を病院から霊安室まで送るのを見届けたその足で、その日の夕方から葬儀の打ち合わせをする。喪主は兄で、とにかく兄弟でなんとかしなければならない。葬儀への細かいこだわりが強かった母は、入院中にも細々としたリクエストをしていた。 とにかくいろいろなことが後手に回っていた私たちは、葬儀会社の