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鎧を纏え

人間関係においてわたしは怖がりだ。わたしはいつだって鎧を纏っている。
そんなことははわかる人にはわかるようで、そんなに強くなくていいとか、もっと素直でいいとか、言われたりする。自分に自信がないから怖がりなんだと言われたりする。そんなこと当の本人はわかってる。重い鎧を着ていた方が生きやすい場合だってあるんだぞ、と叫びたい。

ただ、恋愛においてはめんどくさいやつになってしまう。
好きだと思うほどに、嫌われるような態度をとってしまう。自分と思っている方向とは全然違う方向に進んでいく。その結果、わたしは自分の心を押し殺す。それが相手を傷つけたり怒らせることも知っている。それがなんのためにならないことも知っている。

昨夜些細なことで彼とけんかをした。ちょとした言葉の捉え方の違いだった。彼はそのことを追求し、わたしは話したくないと言った。

時々、わたしはなにをそんなに怖がっているのかと自分に問いかける。どんなに鎧を着たって傷ついてきたんだから、怖がっても仕方ないじゃないか、いや怖いわけじゃない、めんどくさいだけだ、素直になればいいじゃないかと、いや、素直なだけがいいわけじゃないたてまえだって必要だと、頭の中で繰り返す。もう疲れ果てて、わたしを傷つけるのは他人じゃないこのわたし自身だと気づく。その度にもっと重くて分厚い鎧を纏わずにはいられない。

なのにわたしは彼からの電話を待っている。なんて矛盾だ。


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