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きらら漫画作品『またぞろ。』『空の下屋根の中』『夢喰いメリー』感想

先月の11日から29日まで行われていた「まんがタイムきらら展FINAL開催記念毎日無料開放キャンペーン」で読んだ作品の中で、特に気に入った3作品についての感想記事です。

キャンペーンで公開されていた作品などについては、この記事で詳しく紹介されているのでオススメ。

①またぞろ。

高校1年をそれぞれの事情で留年した3人の女の子と、留年生の素質アリアリな新入生の女の子1人が主役の、留年コメディきらら作品。2020〜2023年連載。全3巻。

留年コメディってなんじゃそりゃって感じなんだけど、主人公が不登校だった留年生だからといって作品の雰囲気はそんなに重苦しくなく、「2回目の高校1年生の生活」をユニークに描いているのが面白い。

1年留年経験済みの留年生たちの「妙な連帯感」も読んでて気持ちいい。『ぼっち・ざ・ろっく!』などにも通じる、令和の日陰系きらら作品。

ただ1巻部分は文句なく面白いけど、2〜3巻はシリアスが増えて留年コメディ要素が薄れていくのが微妙なカンジ。

あと、メインキャラの一人の巴がキョン子に物凄く似てる。髪型はおろか制服のデザインまで似てるし黒いカーディガン着用も同じ。

「留年生」特有の自意識過剰…いや、主人公のコトちゃんだけかも。

②空の下屋根の中

高校を卒業した後、大学に行くでもなく就職するでもなく、いわゆる無職になった女の子の日々を描く日常もの。2008〜2010年連載。全2巻。

なんかいきなり『またぞろ。』に似てる気がするけど、テーマが似てるから同じような人種が引き寄せられるのは仕方ない。

無職の女の子が主人公ではあるが、自堕落な生活を描くのが主題ではなく、初めてのアルバイトをしてみたりハローワークで求職したりと、地に足つけた日常を描いているのが特徴。しっとりした雰囲気なのが良い。

時代背景的には、現実の2000年代末のリーマンショック以降の不況の世相を反映しているのだろうか。作中にもバブルの頃と作中の現在を比較するような言及がある。

2008年頃の連載とあって作中に登場する携帯電話がガラケーだったり、現代と比較した古さは否めない。だが、けっして明るくない「この現在」を生きる事をゆるく肯定している作品のテーマは、今も色褪せていない。

他人のようなキラキラした人生でなくても、自分に合った生き方がきっとあるはず。

③夢喰いメリー

こことは異なる夢の世界からやってきた夢魔の少女メリーと、彼女と出会った男子高校生、そんな2人が身を投じる戦いと日常の日々を描く、ファンタジーバトル作品。2008〜2020年連載。全24巻。

まず全24巻という巻数のインパクト。今回のキャンペーンにおける最終日の公開作品だったが、大トリとしての貫禄がすごい。さすがに2巻部分までしか読めなかったけど、それでも十分面白かった。

内容はバリバリのバトル少年漫画で、主人公も男キャラだし、きらら系列の雑誌の作品ではあるが、いわゆるきらら系主流の作品とはまったくジャンルが異なる。

少年漫画らしくバトル描写のコマの魅せ方に迫力があるし、線の細めなキャラの画風も良いし、しっかり女の子は可愛い。こちらもなかなか2008年の古い作品とは思わせない。

なかでも特徴的だと感じたのは、時代的に『灼眼のシャナ』や『Fate/stay night』などの作品の系譜にあるような厨二要素。能力バトル的要素もさることながら、「灯台ファロスエルクレス」「紫閃月下しせんげっか 霰茄子さんなすび」といった固有名詞の厨二ネーミングが非常にカッコいい。

1~2巻の範囲じゃないがめちゃくちゃカッコいいコマ。これほんとにきらら掲載作品?


という感じでした。お察しの通り、明らかにきららっぽくない作品ばかりツボに入ってます。そういうヤツです。

しかし、こうやって公式が作品を無料公開してくれる機会はありがたい。好みの作品が世の中に存在してたとしても、それを見つけるのが難しいものですから。

もし良い感想があればぜひコメントお願いします。

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