金井南龍『神々の黙示録』登ると死ぬ山
概要
謎に包まれた神さま界のベールを剥ぐ。
著者:金井南龍
京都府福知山市大江町内宮。
ここに元伊勢内宮皇大神社があり、その神社の遥拝所から日室ヶ嶽(ひむろがたけ)という小高い山が望める。
キレイな三角形の山で、夏至の日には「夏越の大祓」が行われ、遥拝所から拝むと太陽が頂上に沈む神秘的な場所だ。
おそらく人工的に作られたピラミッドだと思う。
僕は磐座(巨石信仰)に興味があり、よく神社や遺跡のような場所に行く。
以前福知山に住んでいた事があって、その時に元伊勢内宮皇大神社と日室ヶ嶽にも何度か足を運んだ。
この日室ヶ嶽には不思議な伝説があり、山自体が神聖な御神体だからか、「登ったら死ぬ」と言われている禁足地だ。
元伊勢と呼ばれる神社は、現在の伊勢神宮が三重県伊勢市に定まる前に、第11代垂仁天皇の第四皇女である倭姫命(やまとひめ)が、荒ぶる天照大御神の御霊を鎮めるための御杖代となって、その神体である八咫鏡を順次奉斎した場所。
修験の行者である金井南龍さんが書いた本書『神々の黙示録』によると、倭姫命が大和国から伊賀・近江・美濃・尾張の諸国を経て伊勢の国に入った本当の目的は、伊勢五十鈴フトマニクシロ。
この皇家を守る霊的バリアーを二十九ヶ所の霊的拠点を結んで形成するためだったらしい。
五十の三角形を、天津金木の雛形、天津菅麻の雛形と呼ばれる形に結ぶと、1500年の効力がある結界が出来る。
その結び目の一つとして選ばれたのが日室ヶ嶽だ。
「登ったら死ぬ」と言われているその日室ヶ嶽には一体何があるのか?
日常に退屈しているオカルト好きの僕としては、怖いけど当然興味が湧く山で、足を運ぶ度に毎回登りたくなる強烈な誘惑にかられた。
一説によると、この山の頂上には黒い石の磐座があるらしい。
もし本当にそんなものがあるならぜひ見てみたい。
以前奈良の大三輪山に登った時も、頂上にかなり変わった不思議な黒い磐座があり、僕はその磐座を見てから、UFOを何度か目撃するようになった。
日室ヶ嶽と遥拝所の間には川が流れていて、川側から山を見ると断崖絶壁のようになっている。
登山道のようなものがあれば30分くらいで登れそうな山だけど、山の周辺を散策してもそれらしき入り口や道は見つからなかったので、あえなく登るのを断念した。
ネットで調べた情報によると、かつて一人だけこの山に登った人がいるらしく、それが本書『神々の黙示録』の著者である金井南龍さんだった。
僕は『神々の黙示録』に書かれている行者としての南龍さんのエピソードがとても好きで、『神々の黙示録』を読んでからずっと尊敬している。
その南龍さんが、日室ヶ嶽に登ってから急激に体が衰弱し、それから1年後くらいに亡くなってしまったようだ。
かつては「滝の行者」の異名を持ち、幼少期より神霊と交流して神秘な現象を日常的に体験していた南龍さんは、実業界で一時活躍した後、50代半ばから全国の山野を跋渉した。
南龍さんは神道系の行者で、神道系の行者は密教系の行者のように一気に山頂を目指さず、1合目、2合目、3合目…と、段階毎に山の眷属(動物)から出されるサインを待ち、サインが出るまでは次の段階へ登らないものらしい。
足留めを食らったら眷属のサインが出るまで禊を続ける。
それが神道系行者のスタイル。
南龍さんはそれで全国の山々を登った。
大嵐の夜。
南龍さんは自身の集大成とも言える偉業として、白山に単独で登り、天照より神格の高い菊理姫を救出する。
まるで幻想的なRPGのようなエピソードを持つ行者さんが、日室ヶ嶽で死んだ。
それを聞いたらとてもじゃないけど怖くて登れない。
山の上空を旋回する鳶か鷹のような鳥を見ると、なんとなく山の神の眷属が僕の不法侵入を見張っているような気がして後ろめたかった。
ただパワースポットとしても知られている場所だから景色は長閑で、行くと気持ちが良かったりする。
スピリチュアルやオカルト好きにはとても気になる山であるのは間違いない。
伝説は想像するに止めて、散策がてら静かに参拝を楽しむがベストだと思う。
本書からインスピレーションを受けたコラージュ作品動画↓