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100年ライフをどう生きるか。『LIFE SHIFT』を読んで日々の生き方を考える。

私の祖父母が85歳くらい。私が26歳。両親が55歳。両親の歳くらいの生活イメージはなんとなく湧く。しかし自分が祖父母くらいの歳になった時にどんな生活をしているのか、ましてや100歳…イメージできない。多分他界しているだろうと思いつつも、今30歳未満の人々は高い確率で100歳近くまで生きるであろうことを示すデータを見ると、ある程度は心構え・どのように生きるかを考えてみてもよかろう、ということで『LIFE SHIFT 100年時代の人生戦略』という本を手にとって読んでみた。

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人生のステージ

これまで(20世紀)においては人生を三つのステージに分ける考え方が定着していた。

・教育のステージ
・仕事のステージ
・引退のステージ

である。ものすごくイメージしやすい。今ちょうど引退している人なんかは上記のステージを踏んで人生を送ってきたんだろうなと思う。

しかし人生100年となると、上記の3ステージを前提にした人生はうまく機能しないであろうことが著書で説明されている。

20世紀には、人生を三つのステージにわける考え方が定着した。教育のステージ、仕事のステージ、そして引退のステージである。しかし、寿命が延びても引退年齢が変わらなければ、大きな問題が生じる。ほとんどの人は、長い引退生活を送るために十分な資金を確保できないのだ。この問題を解決しようと思えば、働く年数を長くするか、少ない老後資金で妥協するかのどちらかだ。いずれの選択肢も魅力的とは言い難い。これでは、長寿が厄災に思えたとしても無理はない。

きつい。60過ぎてどのくらい体力が残っているかわからないが、今みたいに22時まで働いていても余裕だぜ、なんてことにはなっていないだろうと思う。
老後資金が乏しいのも嫌だ。孫にはお年玉あげたいし、月一でお気に入りの温泉宿への旅行を老夫婦で楽しみたい。

どうしたらいいのだ、というところで登場してくるのが3ステージの人生に変わる『マルチステージ』の人生という考え方。

それは生涯に二つ、もしくは三つのキャリアをもったりもする。金銭面を重視してバリバリバリバリ働く時期や、家庭や友人との関係を優先させる時期や、社会貢献などへの取り組みを充実させる時期など、色々な時期(ステージ)を行ったりきたりしながら人生を送るという考え方(ざっくり)。
そしてそれは100年生きるであろう世代には必要な考え方であり、寿命が伸びることで色々なステージを余裕をもって行き来することができるようになる、ということなのだ。

当著では上記のような100年ライフにおいて『エクスプローラー』、『インディペンデント・プロデューサー』、『ポートフォリオ・ワーカー』など多様な働き方の実践例を、ジャック・ジミー・ジェーンという3人の架空人物の人生になぞって、より具体的に提示している。
この具体的な提示の中身は書くと長くなるのでハショるが、100年ライフ設計においてある程度の具体性を与えてくれる内容なので、是非本で読んでみてほしい。

見えない『資産』

当著においては『資産』を以下の2つに大きく分類して、その重要性を説いている。

①有形の資産・・・お金やマイホームなど目に見える(数値に換算できる)資産。
②無形の資産・・・友人・家族・健康・知識・スキルなど直接市場では取引できない目に見えない資産。

さらに無形の資産を大まかに3つのカテゴリーにわけている。

①生産性資産・・・スキル・知識など仕事で生産性を高め所得を増やすのに役立つ資産。
②活力資産・・・健康、友人関係、パートナーや家族との関係など肉体的・精神的な幸福につながる資産。
③変身資産・・・自分についての理解、多様性に富んだ人的ネットワークなど100年ライフの過程で大きな変化を経験し、多くの変身を遂げるための資産。

もちろん有形の資産は充実した人生を送るのに欠かせない資産であるが、当著では『無形の資産』により焦点を当てて、それらを増やし適切に管理コントロールすることの重要性が今後は増していくと述べられている。
コントロールというと小難しくなってしまうが、要は友人関係や知識なんかもほったらかしにしておくと、いずれは価値も下がり消失してしまう、ということ。そんな状況に陥らないように日々意識的に行動することが大事だよ、ということ。

これらの『無形の資産』については当著でかなり多くの説明がされているのだが、私が勝手にラインを引いている部分だけ抜き取って引用を残しておく。前後の文脈もなく、わかりづらくなってしまっているのは申し訳ない。

・生産性資産に関して。学歴が年収に直結しているデータを踏まえて、やっぱり高等教育は有形資産を築く上で大事。

教育の投資利益率は、インフレ率に加えて15%ということになる★8。この投資利益率が今後も続くなら、長寿化により増えた時間の一部は教育に投資されるだろう。

・コロナ渦中でも人間関係を広げる努力を怠らないことが大事。

強力な人間関係を築いている人は、ほかの人の知識を容易に取り込み、自身の生産性を向上させ、イノベーションを促進できる。高い信頼性と評判をもつ人たちと緊密な協力関係を築くことにより、自分が個人で蓄えているよりずっと広い知識と見方を得られるのだ。

・自分についての知識。自分の人生を意味あるもの、と思えるようにするためにも重要な要素。

自分についての知識は、変化を遂げるための道筋を示すことに加えて、人が変化を経験しながらもアイデンティティと自分らしさを保てるようにする役割をもつ。自分についてよく理解している人は、人生に意味と一貫性をもたせる道を選びやすい。そのため、過度に落ち着きのない人生を送らずに済む。

・人的ネットワーク。言わずもがなであるが改めて。

大規模で多様性に富んだ人的ネットワークは、(中略)長期にわたり価値を産む。職探しで重要なのは、無形の資産のなかでも知識だと思う人が多いだろう。しかし(中略)重要なのは人的ネットワークだ。なにを知っているかではなく、誰を知っているかが大切だ。

もっともっとある(特に友人や家族との良好で信頼のある関係や、職場などでの評判など)のだが、一旦はここまで。

新しいお金の考え方

無形の資産は大事。でもやはり有形の資産である『お金』について適切な知識や考え方を持っていないと、十分に充実した人生を送ることは難しい。

未来の自分について考えなかったり、複雑な計算ができなかったり、専門用語が理解できなかったり、未来の自分への責任を果たさなかったりする人は、十分な資金をもたずに老いる羽目になりかねない。

そう、見えない未来に対して色々と思考したり、知識をつけることは億劫な行為であると感じることは多いが、どれも『未来の自分への責任』を今取れるかということ。そして適切な資金計画を立てるためには、『自己効力感(じぶんならできる、という認識)』と『自己主体感(みずから取り組む、という認識)』を備えている必要がある。

自己効力感を備えるってどういうことや、という疑問に対しては以下のように説明されている。

自己効力感をもっていると言えるためには、以下のような問いに答えられなくてはならない。生活していくために、どれくらいお金が必要か?何歳まで仕事を続けたいか?自分の金銭面の状況をどの程度把握しているか?自分はどのくらい金融知識をもっているか?

これが本当に大事。最近読んだタバティーの「これからのお金の教科書」でも述べられていたけど、じゃあどれくらいお金があればあなた満足なの?安心なの?っていう整理はある程度は自分でやらないといけない。でないと資金計画も立てられないし、一生不安を引きづることにもなりかねない。
私もやりました。ちょー概算ではあるけれど、いくらの家と車が欲しくて、何人子供欲しくて、趣味にはどれくらいお金つかいたくて、、など諸々Excelに書き出して、それらを満たせる年収ボーダーラインなんかも計算しました。
これをやるだけで、具体的な希望年収や資金計画もより立てやすくなるし、要はこの状態が『自己効力感』を持てている状態なんだろうな、と26になって初めて実感しました。

また、本著で金融リテラシーのおおよそのレベルを確認できる「ビッグ5」と呼ばれる5問の質問も掲載されていて、簡単なリテラシー自己診断もできる。
私は4問正解、1問はわかりませんでした。まだまだ十分なリテラシーを持てていなかったようです。

まとめ

申し訳ない。しっかりまとめるのはちょっと難しい。言い訳でもあるが、当著の情報量は割とあるし、noteってそれだけで軽い文章を書くような場所のイメージなのに、その記事の『まとめ』なんてめちゃギュっとしないと、なんて思うとまとめられない。

が、ひとまず本著を読んで私が日々の生活でより重きを置くようになったり、実践した(し始めている)ことは以下のこれらである。

・無形の資産をもっと大事にしよう!友人・家族・職場のネットワークや自分の評判も!
・もはや人生はマルチステージだ。色々な変化と変身の機会は必ず起こる。その時に自分を信じて柔軟に行動できるためにも自分をよく知っておっこう!
・100年生きるとして、どれくらいのお金が必要になるのか、ざっと書き出して計算して、ボーダーラインとなる年収を割り出した。
・100年ライフでは自己効力感と自己主体感を備えることが、キャリア面でも資産形成面でも重要だ。そのうえで計画と実験と習熟をくりかえしていこう。

とこんな感じだ。LIFE SHIFTはだいぶ前にWantedlyの代表の仲さんが「人生の転機ともなった一冊」的な感じでどこかで話していたような記憶もどこかにあり手にとって読んでみたが、示唆に富んだとても面白い本だった。

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