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流れのなかで、身を任せ

2022/06/26(日) #47:hiko

前回とは打って変わって、今回はたくさん書くよ。
まずは土曜日のことから。

どんでん返り

毎月第4土曜日は卒業研究、いわゆるゼミがある。
4月から数えて3回目にして、おそらく初めて4人全員揃った。
就活や教育実習など、4年生はみんな忙しい。
(なんか4多いな)

前回のゼミで発表した俺は、今回は出番はないだろうと高を括っていた。
LINEグループで話していると、誰もなにも準備していないことがわかった。

おぉ...大丈夫かな...

結局大丈夫だった。みんな忙しかったし、同じ発表をする意味もないし、許してもらえた。

とはいえ何もしない訳にはいかない。
来月の中頃に卒論のタイトルを学校側に提出する、みたいなやつがあって、その相談の時間となった。

一人ひとり先生と相談する。
いつもなら順番はなんとなく探りあって決めるんだけど、今回は先生の指名制だった。

第1指名はなんと俺。
前回の発表で今後の方向性が決まり、タイトルも決めやすいからだろう。
俺はこれにいくらかの自信を持っている。

昨年度の研究では、ゼミにいる4人のなかで俺が1番雑魚だった。
内容決めるのも実験もゼミ論文も俺が1番遅かった。

しかし、今年はかなり順調に進んでいる。
タイトルを決めるのに5分もかからなかった。

かくなる自信を持って、胡座をかかず、慢心せずに進めたいですね。
たぶん無理だけど。


嫉妬、羨望、尊敬。

ゼミはものの30分ほどで終わり、かなり時間ができた。
いつもなら3時間はかかる。発表の準備もあり、丸一日がゼミという予定になるのだが。

さあ、どうしよう。

とりあえずLINEを開く。
引退したサークルのグループにメッセージが来ていた。

ちなみに、俺のLINEは通知が来ない病気を患っていて、アプリを開かないとメッセージを確認できない。
通話もかかってこないから、通話する時はこちらからかけないとならない。誰か助けて。

メッセージの内容はこう。
「本日○○時から番発があるので、お時間ある4年生の方はぜひ来てください!」

後輩たちからだった。

番発とは番組発表会のこと。
サークルはメディア・放送系で、MC、ラジオ、声劇などのセクションがある。

これを書いてるっていうことは行ったってことなんだけど、結構悩んだのよね。
だるかったし。
あ、だるいのは準備の方ね。
シャワーを浴びて髪を乾かして服を選んで、梅雨が開けて俺らを殺そうとする太陽を浴びながら1時間の道程。
だるいに違いない。

ただ、外に出るとちょっとした野暮用を遂行できる。
行くか。後輩たちの顔も見たいし。
べ、べつにちょっと用事があるだけで、ついでに行くだけなんだからねっ!

上記の行程を辿り、着いたのは3時間後だった。
遅すぎる。
ドライヤーが暑いから身体が冷めるまで待ってたら時間が経ちすぎていた。全部夏のせい。

イベントも終盤で、最後の番組しか見ることができなかった。
本当にごめんよ。
俺がまだ在籍してるときから、後輩たちのレギュラー番組があって、今回もそれを見るつもりだった。

そいつらはおもろいやつらで、番組オリジナルTシャツを作って販売している。
ありがたいことに、在籍中に番組スタッフとして携わっていたから、俺はそのTシャツを持っている。
今回のイベントにも着ていった。
それなのに、その番組が見られなかった。悔しい。

変なTシャツ来てるだけの人になっちゃったよ。

まあいいとして。
俺が見ることができた最後のプログラムは、IPPONグランプリ。を真似した大喜利大会だった。
羨ましすぎる。

この文章を見てたらわかるだろうけど、俺も男の子だから、面白いと思うことを言いたくなる。
人が見て面白いかは別としてね。

大喜利なんか好きに決まってる。面白いかは別として。
それをやろうという発想と、実現する技術と、遂行する熱量が羨ましい。
そういうチームにいられることが羨ましい。

もっと棘のある言い方をすれば、これは嫉妬だ。
俺がいた場所で、俺がやりたかったことを、俺がいない場所でやっていること。

別の話をすると、俺は去年、ラジオのセクションを牽引していた。
そのセクションが今年になって、学校近くのラジオ局で枠をもらったり、複数大学合同のネットラジオに参加していたり、活動の場が広がっている。

どうしようもないほどの嫉妬と無力感に襲われる。

書いてて思い出したけど、1年前、3年生のとき、俺がセクション長になるにあたって目標としてたことがある。

「セクションの地盤を固めること」

俺が1年生のとき、ラジオのセクションが何をしてるのかがほとんどわからなかった。
というより活動がなかった。
それはセクションというより、サークル全体に原因があったんだけど。

じゃあなんでそのセクションに入ったかというと、憧れの先輩がいたから。
いずれその話をする時が来るでしょう。
だから今は置いといて。

そんなセクションの活動を確立したくて、てか普通にラジオがやりたくて、1年前は色々しました。
このセクションがすごくなるように、その1歩目になろう。
そう思ってた。

話は今日に戻る。
思い返せば、セクションがすごくなることは俺の望みだったらしい。
すごくなれた理由のひとつに、地盤ができていたことがあるのは間違いないだろう。

それでも嫉妬してしまう。

おかしな話だ。
やるべき事はできたし、なにより、俺の目標はそっくりそのまま俺の限界だったのだ。

俺ができなかったことをやっている。
それはずるいとか運がいいとかじゃない。

俺よりすごい。それだけのことだった。

だからこの情けない嫉妬・羨望を

俺は「尊敬」と呼ぶことにする。


野暮用

さて、一通り尊敬し終えたところで、ついでに野暮用も済ませよう。

用件は、次の日友だちと遊ぶ用事があり、そいつが誕生日だったので、プレゼントを買うというミッションだ。

そいつは以前登場したことがある、日本語講師だ。
長いから名前変える。
んー、じゃあラウディ。アウディじゃなくてラウディ。たぶんこれもまた変える。

というわけで、学校帰りに渋谷に寄る。

しかし、誕生日に祝ったり祝われたりという経験が少ないので、何をあげれば良いかわからなかった。

けど調べるのは嫌だ。プレゼントの意味がないから。

少ない選択肢を吟味していく。

1時間くらい歩き回り、いいものを思い出した。
はちみつだ。

ラウディとはだいぶ気楽に話せるんだけど、趣味や嗜好は知らない。
覚えてないだけかもしれないけど。
いや、マジで話してないな。ちゃんと絡んだの10回もないもんな。

そんな関係だから、形のあるものは避けるべきだろう。
いらないものだったら、捨てられないゴミになる。
それは良くないので、なくなるものがいいだろう。
甘いものだろうな。
でもスイーツとかは置きにいきすぎてるし、もはやプレゼントじゃなくてお土産になる。
プレゼントは、欲しいものか、知らない世界を提案することに意味がある。と思う。
ならば。

俺は以前、よわなよわないのasdsの誕プレを買いに、他2人とはちみつを選んだことがある。
場所は渋谷。

そのお店に行こう。

小さめの瓶を2つ買った。
なくすことは出来るし、はちみつを嗜好していると聞いたことは無い。持っていたとしても、消耗品だ。いくらあってもいいはず。
普通に醤油とかもらったら嬉しいでしょ。

それになにより、はちみつは使い道が多い。
コーヒーや紅茶、ミルクティー、ヨーグルト、料理に使ったり、パンにつけたり、そのまま食べたりなんでもござれ。
プレゼントに持ってこいである。

しかし肝心なのは味だ。
一言ではちみつと言っても、味は千差万別。
同じ花から出来ていても、国が違えば味や食感はかなり変わる。
どうやって選ぼうか。

考えていると、素敵な出会いがありました。

「お手伝いしてもよろしいですか?」

こんなにMay I help you?の直訳を聞いたのは初めてだった。
イヤホンをして大音量で音楽を聴いていたので、実際は些か間違っているかもしれない。

反射的に、当たり前のように、断ろうとした。
しかし、今はプレゼントを選びにきてる。教えてもらった方がいい。
それに、味見をさせてくれることも知っている。

一気に社交モードに切り替えて、爽やかに応える。

「あ、お願いしまス。あのー、、友達のプレゼントを探しててぇ、、」

は?なんだよ?完璧だろうが。
はぁ、死にたい........
もうちょっと愛想良く話したいよ。

それから5ラリーくらいしたところで、だんだん普通に話せるようになった。

そのとき、店員さんが他のお客さんに話を振り出した。
一瞬困惑したけど、そのお客さんは常連さんで、3年来の仲だと言う。タメ口で話してた。

お客さんも話しやすい方で、そこから小一時間、3人で話した。上で書いたはちみつのあれこれは、全部2人に教えてもらったことだ。

2人のはちみつプロに教わりながら、俺はプレゼントを選んだ。
1つ目はイタリアのさくらんぼ。凍らせてシャーベットにして食べられるというやつ。試食したらめっちゃ美味かった。
2つ目はニュージーランドのホワイトクローバー。シロツメクサだ。クセがなくて何にでも合いそう。

お2人のお墨付きもいただいた。

はちみつを選んでみて思ったことがある。
たぶん、てかほぼ絶対、俺ははちみつにハマる。
選ぶのが楽しすぎる。
間口が広くて、奥が深い。
自己紹介で「趣味ははちみつです」と言う日もそう遠くないだろう。

あと、お2人との会話が楽しかった。
もっと教えてもらいたい。
身をわきまえているので連絡先を聞いたりはしなかったが、今度会ったら駅までくらいは一緒に歩こう。

会話の中で、店員さんがTシャツに触れてきた。
そりゃそうだ。意味わかんないイラストと意味わかんないロゴ。後ろにはSTAFFの文字。変な人だもん。
そしたらお客さんが「このTシャツさっき見た」って言い出した。

確かに、部内で何着か出回ってるから、ない話ではない。
とはいえ、なんか恥ずかしいな。

言い訳とボケを一通り出し尽くしてから、はちみつ選びに戻る。
恥ずかしさにはちみつを混ぜれば、甘酸っぱい思い出のできあがりってわけです。


ドタバタ

そうして日曜日を迎えた。
ラウディと遊ぶ以外に予定はない。

だらだら過ごしていると、LINEにメッセージが入っていた。ラウディから。
要約すると、
「急用ができて行けなくなった。ごめん。埋め合わせはする。」
とのことだ。

ドタキャンである。

こんな面白い話がある。
実は今日、元々は予定が入っていた。
6月の頭頃、asdsがストーリーに友だちのカラオケを上げていて、その子があまりにも上手かったので、感想が伝わればいいと思ってDMしたら、なんと3人でカラオケに行けることになった。
その日が今日というわけだ。
しかし、1週間前にキャンセルが入った。
まあしゃーない。
暇になったところで、ラウディから連絡が来た。
ラウディも歌がめっちゃ上手い。
そしてラウディとの予定もカラオケだった。

カラオケを2回キャンセルされた。なにそれ笑

とはいえ、その用事的に無理させられないので、大人しく引き下がる。
「残念だけどしゃーない。けど、○○(ラウディの最寄り)行く用事があるからちょっとだけ会えない?」

そう。会わなければ。
はちみつが俺のものになってしまう。
あれ、それちょっといいかも。

にしても苦しい言い訳だ。○○に行く用事などない。
恋愛脳なら「私の事好きかも?」とか思わせてたかもしれない。
こんなこと思う俺も大概恋愛脳だけど。

ラウディは疑う様子もなく承諾してくれた。
少しなら時間を作れるらしい。

時を同じくして、sukeと連絡していた。
この日記についての相談がしたかった。

しかし都合が合わず、先送りになるかと思っていた。
そんな折、用事がなくなったので行けることになった。
「ドライブしようぜ。」

行き当たりバッタリである。

sukeはバイト後19:00から。
車はタイムズのアーリーナイトパック。
18:00~のプラン。
バイト先まで車で30分。

その30分でラウディに会うことにした。
なんて都合がいいんだ。
神による調整を疑わずにはいられない。

車を借りて向かおうとするも、ちょっとトラブル発生。サイドブレーキがない。
ハンドもフットも。焦ってタイムズに電話しちゃった。

結局、フットブレーキが最奥まで踏み込まれていて気づけないだけだった。
恥ずかしい。

この恥ずかしさも、渡すはちみつを溶かして思い出にしよう。

というわけで、渡してサプライズ成功。
インスタにも上げていた。
良かったね。


sukeと合流して、なんとなく神奈川の方に行きたかったので、なんとなく横浜を目指した。
いつも通り色んな話をする。

ただ、今回は珍しく、というよりほぼ初めて意見が衝突した。
グループLINEでの立ち回りについて。

sukeは正しいことを言っている。
俺は間違ってないことを言う。

現実的なsukeと、抽象的な俺。

話は平行線。どちらかが答えではない。
言ってしまえばどちらも正しくて、どちらも間違っている。

お互いに曲げることはしなかった。
しかし、その平行線を無理やりにも交じり合わせる。

その衝突の繰り返しを人は理解と呼ぶのだろう。


交ざり、移り変わり、失い、獲得する。

何でもない日々に見つけて積み重ねる。

その日々を書き記す。

長ぇなおい。


By hiko

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